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2007年12月28日 毎日新聞朝刊12版19面
記者ノート 闇はどこに
室内の風景を撮ろうと許可をもらい、何気なくカメラを構える
と、近くの少女が急に身をこわぱらせた。「ごめん」。あわてて
カメラを収めたが、職員が私に耳打ちした。「カメラで『嫌なこ
と』を思い出したみたい。分かってあげてください。ここは虐待
を受けた子が多いんです」
昨年、中国地方の児童自立支援施設に取材で宿泊させてもらっ
た。非行などをした子供らを指導する施設でかつては教護院と呼
ぱれた。近年は重大な少年事件の加害者の送致先として報道され
ることが多いが、虐待を受けた子供の行き場の一つでもある。そ
の施設でも半数以上の子が虐待を受けた疑いがあり身体的な虐待
も4分の1近くに上った。事件を起こした子の中にも虐待被害の
経験者は多い。
夜、一緒に食事した施設の職員がこぽした。「虐待もそうだが、
昔と比べ子供を取り巻く環境や事情があまりに複雑になった」。
特異な少年事件が起きると、しばしば加害者について 「心の闇
」と表現される。たが、そのらの闇は少年だけでなく、周囲の我
々が作り出した社会にもあるのかもしれない.【船木敬太】