07/11/11 12:34:47 +COuIQM/
精神病 [英]psychosis[独]Psychose[仏]psychose
精神障害のうち、より重症の精神症状や行動障害を呈する一群に対する総称。通常、より軽症の精神障害である神経症に対置して
使われる。しかし神経症と同様に精神病という概念も明確さを欠くため、近年の国際分類や米国のDSM-IIIは精神病という言葉の仕様に
慎重な態度をとっている。例えば、ICD-10は精神病という用語を「幻覚あるいは妄想あるいは限られた数の明白な異常行動(激しい興奮
と多動、うつ病や不安によらない重い持続する社会的引きこもり、著名な精神運動抑制、緊張病的行動)の存在を示すのみに用いる」とし、
その際、これまでしばしば精神病の定義に用いられてきた「病識」や「現実検討力」に関する考察を考慮に入れない、断っている。また
DSM-III-Rで具体的に精神病的障害という言葉に付されている項目を並べると、次のように限定されている。
器質性幻覚症
器質性妄想障害
分裂病
妄想障害
短期反応性精神病
分裂病様障害
分裂感情障害
感応性精神病
精神病像を伴ううつ病エピソード
精神病像を伴う躁病エピソード。
従って、ここではうつ病や躁病はそれ自体では精神病でないことになる。ちなみにDSM-IIIでは神経症という概念も用いられていない。
現在はこのような趨勢にあるが、精神病概念についての考察には一定の歴史があり、それは精神医学の歴史の一断面でもある。
大きく分けると次の二つになろう。
(1)身体疾患の疾患概念にならい、異常な精神現象の背後に器質的変化の確認ないし想定できる場合のみを精神病と呼ぶ立場で、
主としてドイツ語圏の考え方である。この場合当然、反応性の異常体験反応、神経症、生来の神経薄弱、人格障害などは含まれない
(ただ例外として心因反応の強度の場合、例えば拘禁精神病とか驚愕精神病とか、あるいは、より広く反応精神病といった呼び方を
することがある)。
↓続く