06/12/31 05:55:18 zU9YaXOC
大乗は在家というか世俗の人間が始めた宗教で出家しなくても救われることを旨とする。
その精神が表れている典型的な経典は維摩詰経で、世俗のある金持ちが
ブッダの弟子たちをことごとく論破して諭される。修行は世俗の中でこそ行われるべきだとか、
悟りは世俗の迷妄の中にこそあるとか、至って庶民にとって実用的な教えが説かれている。
それに対し小乗は、大乗仏教徒がそれまでの出家した僧中心の仏教を批判して付けられた
あだ名で、元はそういう名称はなかった。大乗仏教登場以前にいろいろ分かれた
仏教集団の一つが上座部仏教で、「長老たちの教え」仏教という意味。
出家者至上主義で、出家して解脱しても阿羅漢にはなれるが、仏陀にはなれないなど
自らに制限を設けている。誰でも仏陀になれるとする大乗仏教とはここが大きく違う。
ちなみに大乗とは大きな乗り物という意味で、小乗は小さな乗り物。
こう聞くと、大乗は進歩的な改革派で、小乗もしくは上座部は
劣った集団におもえるかもしれないが、事はそれほど簡単ではなく、
現実をみれば世俗の金や欲やエゴにまみれる僧侶や信者がいるなど大乗は
堕落しやすい危険性を常にはらんでいる。小乗もそういう堕落した僧がいるが、
原理的に大乗ほど大胆に堕落しにくい。
原理的というのは、彼らの生活が良くも悪くも大乗の坊さんより世俗と離れているためで、
それは例えば世俗の女性と手を触れることも許されないなど戒律が厳しいため。
酒を飲まないとか結婚しないなど、特に日本の大乗仏教とは大きく違う。
また日本では葬儀と言えば寺や坊さんを思いつくほど、葬式と仏教の繋がりが
強いが、元々の仏教はそういう葬儀を取り仕切ることはなかった。