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今年三月、JR東北線に置き石をした無職の男(21)が電車往来危険容疑で逮捕された。男は取調室で捜査員に「電車の中の様子が見えた。暖かそうで、楽しげで、うらやましかった」と話していた。線路に置き石をしたり、物を投げ込んだりする事案は後を絶たない。
一つ間違えば惨事を招きかねないような悪質ないたずらが、なぜ繰り返されるのか。一人の男の心の内にあるものを追った。 (井上仁)
男は母親と二人暮らし。高校時代から対人関係が苦手で、卒業後も仕事が長続きしなかった。そのことで母親に怒られ、「なんて自分はダメなんだ」と考えるようになった。
二〇〇五年十一月には、自転車で山梨県の富士山ろくの樹海近くまで行き、自殺しようとしたが死にきれなかった。その後、自宅にこもりがちになり、うさ晴らしに、火花を見ようと線路にペットボトルを置いたこともあった。
今年三月上旬、蓮田市の自宅で母親から千円をもらい、そのまま家出した。拾い食いや公園で水を飲む生活に疲れ、同月二十四日の土曜の夜、自宅に戻ろうと上尾市のJR東北線沿いを歩いていた。
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裁判官から、置き石をしたときの気持ちについて「何でむしゃくしゃしていたの」と問われると、「仕事が続かないからじゃないですかね」と証言。
「自分で考えて、責任を持ってやっていかないとダメだと分かっている? 今こうなっているのは誰のせいでもなく、自分のせいだよ」と諭されると、「分かっています」と答えた。
逮捕後、検察は母親に話を聞こうとしたが、「息子にかかわりたくないので協力しない」と断られたという。その母親が、一度だけ男に面会に来た。
男は被告人質問で面会時の様子について、母親から「ちゃんと働くなら家に帰ってきてもいい」と言われたと、すがるように繰り返した。
今月五日に言い渡された判決は懲役二年、執行猶予三年。「母親は捜査段階で被告の受け入れを拒否しており、母親のもとで今後生活していくことになるかは明確ではない」として、猶予期間中は保護観察処分とした。
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