07/09/29 18:01:44 FLIFzmIL
スイスからの飛行便にひときわ目立つ婦人が搭乗していた。
隣に坐っているのが気品のある聖職者と分かり、彼女が声をかけた。
「ご免なさい、神父様。お願いをお聞きいただけるでしょうか」
「勿論ですとも。ご用はなんでしょう」
「一つ困ったことがございます……私は精密にできた女性専用の電気かみそりを、
高額を支払って買い求めてまいりました。それが輸入申告できる制限金額を超えているものですから、
税関で押収されはしないかと心配でございます。
神父様の僧衣の下にそっと忍ばせていただけないでしょうか?」
「結構ですよ。ですが嘘はつきませんから、ご承知おきいただかないとなりません」
「あなた様の実直なお顔ですもの、神父様。きっと質問などされませんわ」といって婦人は電気かみそりを神父に渡した。
旅客機が目的の空港に到着した。聖職者が税関の係官の前に行くと質問された。
「神父さん、何か申告するものはありませんか?」
「頭のてっぺんから僧衣の帯に至るまで申告するものは持っていません」と神父が答えた。
係官は、普通なら頭のてっぺんからつま先までというところを、「帯まで」と言ったのが不自然に思えたので
「帯の下に何かお持ちですか?」と尋ねた。
「持ってますとも。ご婦人だけに使用が限られた素晴らしい小道具を持っていますよ。使ったことはないがね」
税関の検査官は思わず笑い出して言った。「はい、結構です。次ぎの方どうぞ!」