07/05/14 21:52:04 osuWoncC
何故こんな運命になつたか判らぬと、
先刻は言つたが、しかし、考へやうに依れば、
思ひ當ることが全然ないでもない。
人間であつた時、己は努めて人との交を避けた。
人々は己を倨傲だ、尊大だといつた。
實は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかつた。
勿論、曾ての郷黨の鬼才といはれた自分に、自尊心が無かつたとは云はない。
しかし、それは臆病な自尊心とでもいふべきものであつた。
己は詩によつて名を成さうと思ひながら、進んで師に就いたり、
求めて詩友と交つて切磋琢磨に努めたりすることをしなかつた。
かといつて、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかつた。
共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所爲である。
高校のときの教科書に載ってた虎になる話
すごく心に残ってる