07/02/23 18:43:55 9wpWjUhQ
次に犬鳴き岩を訪れたのは数年後の小学校中学年になり、親友と大喧嘩した週末だった。
いじめられっ子も健在だったし、すっかり忘れていた僕がなぜまたそこへ行く気になったのかは分からない。
とにかく前回のようにまた犬鳴き岩にやってくると、以前と何も変わらず暗い林の中に岩はうずくまっていて、僕が以前人形を打ち付けた名残は全くなかった。
前回と同じように、髪の毛は親友のものを使い、首の付け根めがけひとしきりハンマーを振るうと家に帰った。
親友とは翌週には仲直りし、犬鳴き岩の儀式は記憶の隅に押しやられた。
その後覚えている限りでは、小学校高学年の頃に父の、中学生になって兄の髪を持って犬鳴き岩へ通った。
それらも何事もなく過ぎ去り、もう思い出すことなどないはずだった。