07/02/15 16:16:10 KnQOuaMh
Biol. Pharm. Bull., 18(9), 1194-1196 (1995)の原文を読んだ。
麻酔をかけた空腹のラットの腹を切開して両端を縫った腸を15 cmほどループ状に出し、
十二指腸へ80 mg/kgのナットウキナーゼを直接注入し、その後大腿深静脈から
採取した血液 (30 分, 1 時間, 3 時間, 5時間後)を色々処理して
ウェスタンブロットにかけたというもの。
その結果が1枚の白黒の絵として論文に出ているが、28 kDaに対応する滓かな白い
スポットが1時間後以降に現れ、除々に強くなっている。
白黒の絵なんで何とも言えないが、いくら吸収に時間差があるからと言って
5時間後のサンプルのスポットが一番濃いのは変だし、
20匹のラットで同じ結果が得られたのかどうかも分からない。
この論文のコレスポは、藤田貢氏(現在は広島国際大学薬学部の助教授)で、
この論文発表当時は、日本ケミカルリサーチ株式会社から出向という形での、
神戸学院大学の論博研究員だったようだ。
URLリンク(www.551659.jp)
最大の仕事は、ナットウキナーゼの275残基からなる一次構造を決定したこと
(Biolchem. Biophys. Res. Commun., 197, 1340 (1993))と、
ナットウキナーゼの製法を確立したことで、後者に関しては、
日本ケミカルリサーチ株式会社の中西晃一郎らによって特許になっている
(特許公開平8-208512)。
ただし博士号取得後はナットウキナーゼの仕事は止めてしまっているようであり、
現在では経口摂取の研究を行っているのは、倉敷芸術科学大学の須見洋行らのグループ
だけのようである。
経口摂取の研究はすべて、腸内で溶けるカプセルで行われているので、
納豆中のナトウキナーゼの効果を保証するものではないし、
納豆のねばねばが胃液による消化を妨げるという主張も、検証された論文はない。