06/08/15 00:12:14 lCKqgrQi
MPTP物語
URLリンク(www.tmig.or.jp)
麻薬そのものがドーパミンと深く関わっていると言いましたが、
実際麻薬とドーパミンは切っても切れない仲にあり、パーキンソン病研究を飛躍的に発展させたのも、
ある意味で麻薬中毒患者たちの功績と言ってもいいくらいです。
麻薬の常習者たちは自分で麻薬(メペリジン類似物質)を合成して、
自分に注射したり、商売をしようとしたのですが、中にMPTPという不純物が混じってしまいました。
これは注射すると血液脳関門を通過してグリア細胞の中でモノアミン酸化酵素(MAO-B)によって
MPP+に変換され、さらにドーパミントランスポーターによってドーパミンニューロンに取りこまれるため、
ドーパミンニューロンを殺してしまいます。
MPP+は細胞内のミトコンドリアに集まりNADPHデヒドロゲナーゼ(複合体I)という酵素を阻害し、
細胞のエネルギーであるATPの生成を阻害するのです。
1983年ラングストンは次々と若い中毒患者がパーキンソン病そっくりになって病院に担ぎ込まれるのを見て、
MPTPが原因物質であることをつきとめました。このMPTPはヒトやサルなどの霊長類できわめて感受性が高く、
高齢になるほど高度で不可逆的な障害を引き起こします。人工産物であるMPTPがほぼ完璧なパーキンソン病を
作り出すことがわかったため、パーキンソン病の原因となる物質が私たちの環境にあって、
知らず知らずのうちに摂取していることがパーキンソン病の原因なのではないかと考えられるようになりました