06/11/10 17:52:15 HykaGr2V
田園地帯を横切る農道を歩くようになったのは、まだ周囲が黄金色に色づく刈り入れ前の頃でした。
いまではすっかり収穫も終わり、あたり一面は黒い大地に取り残された稲が点在する、閑散と
した景色が広がるばかりです。
宴の後を、私もまた取り残されたように歩いています。
農道を抜けた先の国道沿いに真っ白い建物が見える。
時折煙突から立ち上る煙を見上げながら、秋の深まる晴れ渡った空の下を今日もテクテク歩く。
あの建物が葬儀場であることを知ったのは刈り入れが終わってからだった。
もうもうと立ち上る白い煙が空の青に溶け込んでいく。
還り行く魂を見送りながら、新しい生命の息吹を輝く田園風景のなかに感じながら、絶え間なく繰り
返されてきた生と死の営みをふと思い、我泣き濡れて蟹とたわむる。