06/12/20 07:53:42 +t1S1cpc
>>540の続き
小学校4年生になると料理を覚え
仕事で疲れて帰ってくる母親のために料理を作った。
「・・・不味い」
母親はいつも吐き捨てるように言った。
「ごめんなさい。今度はもっと上手く作ります・・・」
スーパーに買い物に行く時はいつも
母親の好きな料理
母親の好きな味付け
そればかりを考えた。
543:1
06/12/20 07:55:44 +t1S1cpc
>>542の続き
ある日、母親とそっくりの味付けで作ることが出来た。
(これなら絶対に美味しいって言ってもらえる
絶対に喜んでもらえる)
ワクワクしながら母親の帰りを待った。
帰宅した母親は珍しく機嫌が良かった。
しかし、料理を一口食べて泣きながら怒り出した。
「もういい加減にして!なんでこんなことばかりするの!」
母親は泣きながら狂ったように彼女を叩いた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
震えながら同じ言葉を何度も繰り返した。
544:1
06/12/20 07:58:56 +t1S1cpc
>>543の続き
喜ばせようと努力すればするほど
何故か母親は彼女に厳しくあたった。
(これなら喜んでくれるはず)
何故か自信が有る時ほど
母親は彼女に剥き出しの感情をぶつけた。
肉体的な暴力だけではなく、冬の夜に下着姿で外に閉め出されたこともあった。
当時の彼女はそれが虐待だとは思わなかった。
自分の存在が母親を苦しめている。
漠然と感じていた思いは
いつしか確信へと変わっていった。
545:1
06/12/20 08:00:51 +t1S1cpc
>>544の続き
愛されたい想いは
諦めから絶望に変わった。
自分が大人になれば今よりもっと周りの人を苦しめる。
大人になるのが怖かった。
毎年学校で行われる身体測定で
確実に成長していく自分の体に怯えた。
死ななければという想いに囚われていく。
546:1
06/12/20 08:02:43 +t1S1cpc
>>545の続き
どうやったら死ねるのかを考えるようになり
テレビの2時間ドラマで主人公が自殺するシーンを参考にした。
小学6年の冬休みの最終日。
母親が買い物に出掛けた後、彼女は浴槽に水を溜め始めた。
少しずつ上がってくる水面を無表情で見ている。
窓の外は雨が降っていた。
少し開いた窓の隙間から雨の日の匂いがした。
547:1
06/12/20 08:07:40 +t1S1cpc
>>546の続き
浴槽に水が一杯になると
化粧用のカミソリを右手に持った。
恐怖は無かった。
静けさの中、雨の音だけが響いている。
カミソリで手首を一気に引いた。
痛みは感じなかった。
(これで終わり・・・
お母さん・・・もう大丈夫だよ・・・)
血が滲む手首を水に浸けて
浴槽の縁に頭を付けて命が終わるのを待った。
548:優しい名無しさん
06/12/24 08:10:43 gWZ0j1fN
ほす