06/04/22 09:26:06
■--男は質実剛健の精神で
庵谷 志穂(主婦 33歳 東京都)
我が家には中学1年の息子と小学4年の娘がいる。息子には毎日100円の、娘には毎月1万円の小遣いを渡している。
ところが最近、息子が小遣いの額について文句を言うようになってきた。
いまどき100円だけでは自動販売機でジュースすら買えないと言うのだ。
ジュースが買えないならワインを買えばいいと言って、その場は突っぱねたのだが、
今度は年少である娘より自分の小遣いが少ないのはおかしいと言ってきた。
結局、いまの世の中では「年功序列」という考え方は時代遅れであること、
昔から「娘が3人いれば身上を潰す」というように、娘には息子以上にお金をかける必要があることなどを
細かく説明しなければならなくなった。実のところ、息子への小遣いはいまの額でも多過ぎると考えている。
男が贅沢を覚えると、酒色に溺れてみたり、身の丈に合わない高級車を買ったり、ギャンブルに狂ったりして、
挙げ句は借金地獄に身を落とすなど、とかく碌なことにならないものだ。
だいたい、女性はエステ通いにしても海外旅行にしてもブランド品を買うにしても、自分を磨くための散財なのだから、
ある程度の贅沢は仕方ないが、男の贅沢は何のためになるのか理解できない。
そんな矢先、夫が家族や会社にも内緒で副業していたことがわかった。
それだけではなく、昼食用に渡していた毎日500円ずつの小遣いも、昼食を採らずに浮かしていたようだ。
夫はどうしても欲しいものかあって、お金を貯めていたと釈明したが、まるで小学生のような言い分に呆れ返った。
当然だが、副業の収入も浮いた小遣いの分も全て没収して、家計の足しにさせてもらった。
昼食を採らなくてもいいというなら、当分は小遣いを渡す必要も無だろうとは思ったが、
そこは女性の情けで毎日200円ずつを渡すことにした。
感謝と反省の念からだろう。夫は目に涙を浮かべ、拳を握りしめながら体を震わせていた。
将来、夫のような醜態を晒すことが無いように、息子には清貧と質実剛健を旨とした教育をしていきたい。
パチンコで2万円ほど擦った後、小洒落たレストランで遅めのランチを頂きながら、そんなことを考えてみた春の午後だった。