06/02/13 05:53:09 Ksv7Zq5b
俺の障害は先天的なものではなく、事故によるものだったらしい。
俺を連れて歩いていた両親に、居眠り運転の車が突っ込んだそうだ。
運良く父さんは軽症ですんだが、母さんと俺はひどい状態だった。
俺は何とか一命を取り留めたが、母さんは回復せず死んでしまったらしい。
母さんは死ぬ間際、父さんに遺言を残した。
「私の分までこの子を幸せにしてあげてね」
父さんは強くうなずいて、約束した。
でもしばらくして俺に異常が見つかった。
「あせったよ。お前が普通の人生を歩めないんじゃないかって
約束を守れないんじゃないかってなぁ。
でもこれでようやく、約束…果たせたかなぁ。なぁ…母さん。」
最後は手話ではなく、上を向きながら呟くように語っていた。
でも俺には何て言っているか伝わってきた。
俺は泣きながら、父さんにむかって手話ではなく、声で言った。
「ありがとうございました!」
俺は耳が聞こえないから、ちゃんと言えたかわからない。
でも父さんは肩を大きく揺らしながら、何度も頷いていた。
父さん、天国の母さん、そして先生。
ありがとう。俺、いま幸せだよ。