06/04/22 22:31:28 0NQaWvid
ゲル使用、内耳膜に接着
京大グループ ラットで成功 成長因子で難聴治療
薬剤を含ませた生体吸収性ゲルを、内耳の膜に置くことでラットの聴覚障害を治療することに、
京都大医学研究科の中川隆之助手、伊藤壽一教授らのグループが成功、米医学誌「ラリンゴスコープ」4月号で発表した。
内耳の障害による感音難聴の新しい治療法として期待できるといい、年内の臨床試験開始をめざす。
京大再生医科学研究所の田畑泰彦教授が開発した生体吸収性ゲルを用い、大音量のために難聴になったラットで実験した。
管の中に聴覚細胞が並んでいる内耳の蝸牛(かぎゅう)(うずまき管)の膜に、成長因子「IGF-1」を含ませたゲルを置き、
1カ月後に聴覚機能を調べた。
その結果、比較のために生理食塩水だけ与えたラットは障害が残ったのに対し、IGF-1を与えたラットはほとんど治っていた。
IGF-1は神経細胞の成長などにかかわっている。実験後の聴覚細胞の観察から、大音量でダメージを受けた聴覚細胞や神経細胞、上皮組織などが死滅するのを、IGF-1が防いだのではないかという。
原因不明の突発性難聴は国内で年間3万5000人が発症するとされるが、治療が難しく社会的な課題となっている。内耳に直接、薬物を投与することは難しかったが、今回の方法なら内視鏡を用いて患者に負担をかけずに治療が可能という。
中川助手は「IGF-1は、すでに他の病気で薬剤として用いられ安全性が確認されている。糖尿病でステロイドが使えない患者や、従来の薬剤が効かない患者への臨床試験を京大病院で行い、治療として確立させたい」と話している