04/08/23 10:15 VeMRApjs
いつもウチの家に勝手に入ってくる太った猫がいる。
ウチんとこにも猫がいるけど、その猫と一緒にいつも追い出している。
この前朝起きたら、弁当の残りの卵を食べ散らかしていた後があった。
あの猫の仕業だ。凄く腹が立った。不法侵入は許さない。
今日こそ家に入れさせないぞ!と、窓を閉めてその日は寝た。
だけど次の日になると、今度はおにぎりのくずが散らばっている。
まただ。違う窓から入ったらしい。今日こそ全部戸締りをして、カギをして寝た。
次の日には来なかった。弁当の残りは全て残っていて、ウチの朝ご飯となった。
ペットの猫も安心しているようだ。いつも怯えた目をしてアイツが来ないか窓を
見張っていたけど、もう大丈夫。その日からあの猫は来なくなった。
そしてある日、学校の部活の帰り、家の近くでウロウロしている猫を見た。
黒くて汚くて、まさしくあの猫だと分かった。でも凄く痩せている。
少し痛々しくて、胸が痛んだ。そういえば、ノラ猫は自分でご飯を探すのか。
ウチの猫みたいに、お腹空いたときは飼い主がご飯をくれたり、抱っこしてもらったり、
頭を撫でてもらったり、気持ち良い布団の上で寝たことは多分ないだろう。
ウチんとこの猫はすごく贅沢でゴージャスな生活に見える。あの猫には。
それでもご飯をあげることはできない。家に入れるのもそりゃ無理。
可哀想だけど仕方ない。ノラ猫だから。見て見ぬふりをするしかない。仕方ない。
それでもやっぱりその日はあの猫が気になった。気になって気になって、ウチは
寝る前に窓のカギをこそっと開けておいた。悪いことかもしれないけど、何だか
暖かい気持ちになった。明日の朝にテーブルの上を見るのが少し楽しみに感じた。
次の日、テーブルの上はぐちゃぐちゃ。ラップがビリビリに破られていて、ご飯粒が
散らばっている。ウチは嬉しかった。思わずガッツポーズをした。
弁当の残りご飯ぐらいアイツには食べさせて良い。ウチの朝ご飯ぐらいどうでもいい。
とにかくあの猫が太れば、それでいい。たまにはご馳走をあげたっていい。
ノラ猫だけど、ウチの猫と一緒で、普通の猫だ。とにかくウチは、朝から清々しい
最高の気分になった。良いことじゃないかもしれない。でもウチは最高だった。
でも今日の夜からはまたカギを閉める。またあの猫が痩せたら、多分またカギを開ける。
あの猫はどう思ってるか分からないけど、少し心が通じたかもしれない。
そう勝手に思うことにする。とにかくウチは猫が好きで、今までよりも凄く好きになった。