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【北京＝中沢穣】
中国国営中央テレビの元実習生の女性が、著名司会者による性的暴力被害に対して損害賠償などを求めた訴訟で、北京の裁判所は14日、原告の訴えを棄却した。
女性は、審理は不十分などとして上訴する方針だが、「#MeToo運動」を象徴する事案での敗訴は、性的被害を訴える動きにブレーキにかける恐れがある。
ネット上で「弦子」と呼ばれる周暁?しゅうぎょうせんさん（28）の訴えによると、中央テレビで大学の授業の一環として実習をしていた2014年6月、著名司会者、朱軍氏（57）に体を触られたりした。
2018年にネット上で被害を訴えてから、中国のMeTooを象徴する事案として注目を集めた。
北京市海淀区人民法院は14日、証拠が不十分として、5万元（約85万円）の損害賠償と謝罪を求める訴えを退けた。
周さんによると、裁判所は、被害当時に着ていたワンピースのDNA再鑑定や朱氏自身の法廷での尋問、テレビ局内での防犯カメラ画像の調査などを認めなかった。
周さんは同日、裁判所前に集まった支援者や外国メディアの記者らに対し、「皆さんがともに立ち上がってくれたことに感謝している」と話して法廷に入った。
同日深夜、裁判所から出てきた周さんは「私も弁護士も十分に意見を陳述する機会が与えられず、核心的な事実は審理されなかった。敗訴は残念だ」と涙を流した。
MeTooについては「（判決に）影響されないでほしい」と訴えた。
中国の官製メディアは裁判の判決をほとんど報じていない。ネット上では周さんを支持する書き込みなどが削除される一方、非難や中傷は野放しにされている。
女性団体の代表、馮媛さんは「裁判所は正しい法的手続きをとらず、判決に失望と憤慨を覚える」と批判した上で、「MeToo運動には打撃だが、周さんら被害者の訴えを消し去ることはできない」と話した。
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１４日、北京市海淀区で、支援者や当局者に囲まれて裁判所に入る周暁?さん（右から２人目）＝中沢穣撮影