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介助者帯同できず、参加辞退 盲ろうの米・金メダリスト 東京パラリンピック水泳
リオデジャネイロ・パラリンピックで三つの金メダルを獲得した米国の盲ろうの水泳選手、ベッカ・メイヤーズさん(26)が、東京大会の辞退を決めた。「パラリンピックはすごく特別な場所。私らしくいられる機会を与えてくれる」。だが、介助者の帯同が認められなかったため、万全の状態で競技に臨めないと判断した。
■「もっと頼みの綱が必要なんです」
メイヤーズさんは生まれつき耳が聞こえず、徐々に視力も衰える先天的な難病「アッシャー症候群」を患っている。人工内耳と呼ばれる機器を使って音を拾っており、朝日新聞の取材に思いを語った。
水泳は6歳で始めた。2012年のロンドン大会、16年のリオ大会で計6個のメダルを獲得。19年の世界選手権でも、400メートル自由形で優勝した。
「ここ数年、私は盲ろう者ではなく、水泳選手として知られてきた。水泳は私に、アイデンティティーを与えてくれた」
メイヤーズさんは17年の国際大会から、米五輪・パラリンピック委員会(USOPC)の了承を得て、介助者として母親のマリアさんを帯同してきた。だが、5月初旬、USOPCから「東京大会への介助者の帯同は認められない」との知らせを受けた。
日本で新型コロナウイルスの感染が広がる中、各国の代表団は来日する人数を絞っている。USOPCも東京に行く水泳選手34人に対し、介助者は1人だ。
「私は東京に行ったことがない。まったく新しい環境で、マスクの着用が義務づけられている中、頼れる介助者の存在なしに、私が1人で移動することはほぼ不可能です」
5年間、東京大会のために準備をしてきた。ただ、通知後はストレスが高まり、食欲は減退し、眠りも浅くなった。USOPCと交渉を重ねたが、結局認められず、7月中旬に正式に辞退を伝えた。
「胸が痛い。障害のあるアスリートが最高峰のレベルで競うんです。安全で、自信があり、できうる限り最高の準備をしたと感じられるためには、もっと頼みの綱が必要なんです」
東京大会の組織委員会は「ダイバーシティー&インクルージョン」を理念として掲げる。多様性を尊重し、それぞれの違いを受け入れよう、との意味を持つ。メイヤーズさんは言う。「すばらしい言葉だと思う。ただ、行動で示してほしいと、心から願っています」