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ヘビ真菌症の国内侵入を初確認 野生種の感染拡大に懸念
皮膚の壊死(えし)によって個体を死に至らしめる真菌症に感染したヘビが国内で初めて確認された。南米から輸入されたヘビが発症し、岡山理科大と国立科学博物館のチームが診断・特定した。ヒトには伝染しないが、すでに北米の一部地域では野生ヘビの種の存続を脅かすほど猛威を振るっており、日本のヘビにとっても深刻な「新興感染症」となる恐れもあるという。
岡山理科大の宇根有美教授(獣医病理学)によると、2019年4月、国内の愛好家が輸入業者から購入した南米原産のハラスジツルヘビの皮膚に異常が出て、間もなく死んだ。同じ愛好家が別のケージで飼っていたラットスネークなど別の種類の輸入ヘビ11匹も発症。治療が施されたが、うち4匹が死亡した。治療した九州地方の動物病院から連絡を受けた宇根教授らが死んだヘビを検査し、ヘビ真菌症と判断した。
ヘビ真菌症を引き起こすカビの一種は、1986年に米国の飼育ヘビから見つかった。これまでに北米や欧州で報告されていたが、アジアでの確認は初めて。今回、ヘビに感染していたカビを培養して遺伝子検査した国立科学博物館の細矢剛・植物研究部長によると、カビは「オフィジオミケス・オフィオジイコラ」という名前で、ヘビのうろこを構成するたんぱく質であるケラチンを分解して増えるという。
ヘビ真菌症は特に08年以降米国で急速に広まった。米国東部に生息する、絶滅危惧種を含むほぼすべての野生種のヘビで感染が確認されている。この影響で、ガラガラヘビの一種は個体数が大幅に減少したとの報告もある。チームは今後、日本に生息するアオダイショウなど在来種のヘビへの感染のしやすさを調べる方針だ。
宇根教授は「日本で野生のヘビが減れば、ヘビに捕食されていた動物が増え、生態系が崩れる恐れもある。人間の活動に伴って人や生き物が移動することで新興感染症が広がるという意味では、新型コロナウイルスと同じ構図だ」と話す。
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