20/08/21 21:23:13.33 biEj9DRy0.net BE:562594374-2BP(1000)
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自治体の住基システム100超 「標準化の決断が必要」
1人10万円を給付する「特別定額給付金」をめぐっては、政府が推奨したオンライン申請に必要なマイナンバーカードの暗証番号を忘れた人が窓口に殺到したり、入力誤りや重複申請が多発したりして、各地の市区町村が混乱。都市部を中心に給付が大幅に遅れる原因になった。取得率が伸び悩むマイナンバーカードが本格的に使われる初めての機会だったが、行政のデジタル対応の遅れがあらためて浮き彫りになった。
政府は今回の反省から、国と地方の情報システムの標準化や、マイナンバーカードの利便性を高めるための取り組みを集中的に推し進める方針を示したが、状況は変わるのか。マイナンバーカードの発行やそのためのシステムの運用を担う総務省の外郭団体「地方公共団体情報システム機構」(J-LIS)の吉本和彦理事長に聞いた。
特別定額給付金のオンライン申請では、マイナンバーカードの暗証番号の再設定などで多くの住民が役所を訪れ、システムにアクセスが集中して処理に遅れが生じた。
J-LISでは暗証番号を設定するシステムも運用しているが、今回の申請でマイナンバーカードを初めて使う方が多く、日頃使っていただいていないという潜在的な問題が表面化した。暗証番号の再設定で自治体からJ-LISのシステムにアクセスが集中し、処理能力を超える負荷がかかった。処理が遅れたのは、主に5月7日~12日の午前中。13日以降は問題なく処理できたが、各自治体への来庁者の集中は想定をはるかに超えるものだった。
混乱を受けた対応は。
政府の第2次補正予算を活用してシステムを増強する。また、今後マイナンバーカードの所有者が増えることを想定した場合、自治体の窓口以外でも行政手続きができるようになることも検討する必要がある。今は生みの苦しみの時期。銀行のキャッシュカードも普及まで10年以上かかった。マイナンバーカードがもっと普及し、様々な場面で利用していただければ、暗証番号を忘れる問題は解決する。
よしもと・かずひこ1947年生まれ。慶大工学部卒業後、70年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。銀行の情報システム構築に携わり、2002年にみずほ銀行常務執行役員(eビジネス担当)。その後日本郵政公社理事兼常務執行役員などを経て17年4月から現職。
マイナンバーカードは、マイナンバー(12桁の社会保障・税番号)を証明する機能と、電子証明書を用いた本人確認(公的個人認証)の機能がある。よく使われているのは、今回のオンライン申請で使われた本人確認機能の方。例えば図書館で、マイナンバーカードをかざせば本人確認ができて利用できるところがあるように、マイナンバーカードは汎用(はんよう)性の高いデジタルカード。それを国民に理解していただけるように、政府、自治体と一緒に説明していかなければならない。
情報漏出の心配がある。
省庁や自治体などが保有する個人情報は、特定の組織が集約して一元的に管理しているわけではなく、それぞれのデータベースで分散して管理している。行政機関同士で個人情報をやりとりする場合は、マイナンバーを使わず他の符号で行っているため、どこかの機関でトラブルがあってマイナンバーが漏出したとしても、他の機関が保有する個人情報は引き出せない仕組みとなっている。この仕組みはJ―LISなどが担い、セキュリティーは想像以上に頑丈だ。マイナンバー関連のシステムをクラウド化する議論もあるが、情報漏出防止や国の安全保障の観点も含めて検討が必要と考えている。
行政機関のデジタル化の課題は。
行政では急いでシステムを作ることも必要で、積み重ねでシステムを作り「建て増しの建て増し」となっている。さらに根源的な問題は、自治体がIT業者任せだったり、地元のIT企業を育てる観点もあったりして、基幹システムをそれぞれがバラバラに作っていることだ。
例えば各自治体が管理している住民基本台帳のシステムだけでも100以上ある。この無駄なシステム投資を減らすには、自治体のシステムを標準化するプロセスが重要だ。7月17日に政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)では、「国・地方を通じたデジタル基盤の標準化の加速」が柱となった。地方自治の原則から、自治体がアイデアを出し合って競争するのは大賛成。しかし、各自治体の住民票の様式が同じであっても、この原則に差し支えるとは思えない。自治体のトップが問題意識を共有し、システムの標準化を決断することが必要だ。
オンライン申請では、内閣府が作成した申請システムが不完全なまま公開され、自治体は確認や補正作業に追われた。