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首相ブレーン医師 コロナ感染でルール逸脱の“優遇入院”か
2020.03.31 07:00
新型コロナ対策の拠点となるべく新設された大学病院で、希少な病床のひとつが、「本来入院できない患者」のために充てられた。その人物は、首相直轄の諮問委員会メンバーにして、公衆衛生学の権威。発症から検査、そして治療まで、ルールを逸脱して進んだ入院劇─。
◆「まさか、先生が」
新型コロナウイルスの国内流入を防ぐ“水際作戦”で厳戒態勢を敷く成田空港のそばに、3月16日、国の第一種感染症指定医療機関「国際医療福祉大学成田病院」(642床)が開業した。
同病院は安倍政権が推進する国家戦略特区制度(医療特区)で新設された国際医療福祉大学医学部の附属病院。
同大の「国際臨床感染症センター」の診療部門として強力な感染症にも対応できる感染症専門病床を備え、外国人患者の診療・入院をサポートするために医療通訳のスタッフもいる。
まさに成田空港の“水際作戦”に欠かせない拠点病院といっていい。
厚労省は欧米などからの帰国者、入国者の感染が増えていることから、4月1日の予定だった付属病院開設の前倒しを強く要請し、病院側は感染症科を先行開業して642床のうち48床の個室フロア(減圧室12床)で新型コロナの患者に対応することにした。
異例の要請を行なった厚労省の判断も、それに応じた大学病院側も見事な対応だったといえるだろう。
ところが、開業早々、ハプニングに見舞われる。3月19日、東京から意外な患者が運ばれてきたのだ。
「まさか、先生が」。慌ただしく準備に追われていた医師、看護師らは驚いた。
同大学の看板教授で、著名な公衆衛生学者として知られるA教授だった。
A教授は安倍首相が議長を務める未来投資会議の医療・介護分野の副会長で、いわば首相の医療ブレーン。
医学界での知名度は高く、全国を飛び回って高齢化社会の医療体制などについて講演している人物だ。大学関係者が証言する。
「大学の看板教授が入院してきたからびっくりです。A教授は発熱の自覚症状が出るまで医師グループとの勉強会や学会などへの出席のために新幹線で全国を飛び回っており、接触者は数え切れない。
多くは研究者、医師、保健所など医療関係者です。大学内では教授の陽性(感染)を公表すると影響が大きすぎるのではないかと議論になった」
海外からの帰国者、入国者の感染者を収容するために前倒し開業した専門病床が、同大学の教授によって使われることになったのだ。
※略※
◆越境入院
A教授の発症後の行動にも疑問点が浮かんだ。厚労省のルールでは、一般の国民は、発熱などの症状が出るとかかりつけ医に相談し、「風邪の症状や発熱」が4日間以上続いている場合は、地元保健所の「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談する手順が定められている。
そこで必要と判断されればセンターが指定する「コロナ外来」(東京都は77病院。病院名は非公表)で感染しているかどうかを調べるPCR検査を受けることができるが、実際には、高熱が続いて主治医が検査を求めても相談センターで「検査の必要なし」とハネられるケースが非常に多い。
そして検査で陽性が出た場合、保健所が指定する感染症指定病院に入院することになる。
「都内のコロナ外来の検査で感染が判明した人は、都内の病院に入院するのが原則です」(東京都福祉保健局感染症対策課)
ところが、A教授はこのルールに従わなかった。
「東京の自宅で療養していたA先生は、肺炎の症状が出ると帰国者・接触者相談センターを通さずに都内の知り合いの病院でPCR検査を受診、陽性が判明すると自宅から千葉の成田病院に入院しています。東京の保健所を完全にスルーしています」(同大学関係者)
ルールを無視して東京から千葉の最新鋭の感染症指定病院に“越境入院”したことになる。
※略※
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