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「大量生産」に落とし穴 違法建築1324棟を公表したレオパレス21
2019.2.16 13:45
●通帳見てるだけでいい
いったいなぜ、これほど多くの法令違反が繰り返されたのか。カギを握るのは、レオパレスのビジネスモデルだ。
レオパレスの賃貸アパートの持ち主は、地主らだ。広い土地を持つ地主を見つけては、営業社員が訪問する。
「30年間家賃を保証します」
「オーナーさんは何もせず通帳だけ見ていればいい」
そんなセールストークで、建設を決意させる。首尾よく受注すれば高額のインセンティブが入るため、営業社員は熱心に訪問を繰り返す。
1棟建てたオーナーには、畳み掛けるように2棟目、3棟目を提案する。
地主には、経済にうといお年寄りも多い。
以前、同社の顧問をしていた男性は「発想は今でいうオレオレ詐欺に近い。いかにうまく誘って利益を抜くかを重視していた」と語る。
●低入居率が経営を直撃
だが、バラ色のセールストークとは裏腹に、家賃が契約通りに入金されるのは最初の数年だけという例も多い。
入居者が計画通りに集まらないためで、早いものだと2年後には家賃の減額を提示されるようになるという。
不人気の原因の一つは、前出のビジネスモデルによって、駅から遠かったり周囲に商業施設がなかったりする立地条件の悪い土地にまでどんどん物件を建ててしまうこと。
もう一つは、建物の品質の低さだ。
防火性能や遮音性の低さに加え、入居者からは「隣の部屋でテレビのチャンネルを変えれば自分の部屋も変わってしまう」とか
「床と壁の隙間が大きすぎて、サワガニが入ってきた」といった証言も出ていた。
同社は、違法建築について組織ぐるみではないとしているが、内部に詳しい人間はこう話す。
「下請けには徹底的に安く発注するからまともな工務店は引き受けない。それでも即金の現金払いに引かれて手を挙げる業者はあった。
入居開始日が決まっているため間に合わせるためならなにをしてもいい、という雰囲気が現場にはあった。管理態勢などないに等しい」
そして空室率の高さは、結果的にレオパレス自身を追い詰めている。
部屋が埋まらなければ、実際に入ってくる家賃よりレオパレスがオーナーに支払う金額が上回ってしまう「逆ザヤ物件」になるためだ。
空室率の上昇がレオパレスの経営を直撃したことがある。リーマン・ショック後に企業が人員削減を進めた影響を受け、2010年3月期と11年3月期に2期連続で赤字に陥った。
この時期にレオパレスから一部の物件の契約を引き継いだ大手管理会社の幹部は「入居率が平均して30%台前半しかなく驚いた」という。
今回の騒動でも空室の増加は避けられない。レオパレスは2月7日、現金預金が892億円、自己資本は1069億円(連結、18年12月末時点)と
十分な水準にあると発表しているが、修繕費や入居者の引っ越しに伴う費用がどれだけかかるのかも不透明なままだ。
激しい営業による急拡大と建築コストの削減。利益を生むはずの二つのツールが今、レオパレス自身に牙をむいている。
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