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「文學界」1998年12月号349ページ「新人月評」 担当・小川榮太郎
福島次郎「蝶のかたみ」(文學界)は、私の本欄担当以来の傑作。兄弟揃っての男色を苦にし、自らはそれを秘める地味で篤実な兄、女装で渡世をする弟。
弟を忌避してきた兄が、初老に達して再会した弟に見出したのは、狡猾、陽気に世をわたってきた弟に秘められた悲哀の深さだった。
白無地の綸子の着物を着て無邪気に笑い転げるグロテスクな姿が、静かな悲しみを湛え、一つの叙情歌へと流れゆく。
切り裂かれた時間を取り戻そうとするかのような兄の優情は、半ば以降、「魂の歴史」の趣にすら達している。
(都合により正字正仮名を新字新かなに改めた)
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※福島次郎は三島由紀夫の彼氏