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ネトウヨ ユーチューブ「大量削除」の波紋 遠藤薫氏
2018.7.29 17:00更新
「ネトウヨ動画を潰そうぜ」。
今年5月、匿名掲示板サイトの呼び掛けがきっかけとなり、保守系言論人らが投稿したユーチューブ動画が大量に削除される騒動があった。
差別表現をめぐる「運動」にまで発展した背景に何があったのか。(iRONNA)
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今日では、グーグルやツイッターなどソーシャルメディアのサービス提供者は、ヘイトスピーチなど問題のある発言に対して、投稿の削除だけでなくアカウント停止など厳しい対応をとっている。
対応するにあたっては、ユーザーからの「通報」を参考にすることも多い。したがって、「通報」は間接的に、投稿の削除を促すこととなる。
この運動によって20万本以上の動画が削除され、自主削除したものも10万本近いといわれている。
ただし、最初に注意しておきたいのは、この問題は「ヘイトスピーチ撲滅か、表現の自由擁護か」という二者択一的な問題ではない、ということだ。
◆ヘイトスピーチ
わが国では、平成28年6月にいわゆる「ヘイトスピーチ対策法」を施行した。これは日本だけではなく、世界の流れであり、国連の見解を受けたものでもある。
したがって、もしある動画、ある言説がヘイトスピーチの要件を満たすならば、誰がどのように通報するかに関わりなく、それは削除されなければならない。
ただ、問題は多くの表現が明らかなヘイトスピーチとまでは言えないが、攻撃性を含んでいるし、「表現の自由」の許容にも一定の限度があるということだ。
そもそも今回の「運動」は、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)から「ネトウヨ」に対するカウンターとして始まった。
2ちゃんねるが「ネトウヨ」の活動場所とみなされることが多い現状から考えると、この「運動」を不思議に思う人もいるのではないか。
一方、「ネトウヨ」と呼ばれる人々がどのような人なのかは、必ずしもよく分かっているわけではない。
「ネット右翼」という正式な呼称からも示唆されるように、ネット上で右翼的な発言を活発に行っている人々を指すと考えられるが、それは「保守」とどの程度重なるのかなど、その像は必ずしも明確ではない。
iRONNAに掲載された本稿全文では、筆者が行った意識調査に基づき、一般ネットユーザーのヘイトスピーチに対する意識も考察した。詳しくはこちらをお読みいただきたい。
◆裁くのはIT企業
さて、今回の「運動」を通して一つ言えることは、その効果が極めて間接的であり、また限定的だったことである。
というのも、先にも述べたように、実際に投稿を削除したりアカウントを停止したりする権限を持っているのは、グーグルやツイッターなどの大手IT企業である。
ユーザーからの通報を受けて、ある投稿がヘイトスピーチなのかそうでないのかを判定するのも、これらの企業である。
従来なら通報先となったはずの国家や司法は、単にキャンペーンを展開しているにすぎず、法制化されたといっても罰則などはないのである。
だから今回の「運動」では、国家(警察)や公的機関には通報しない。グーグルやユーチューブやツイッターに直接通報する。
こうしてみると、今やヘイトという社会悪を裁くのはIT企業なのだ。いつの間にか、IT企業こそが「公(おおやけ)」を担う主体になったのかもしれない。
この構造を踏まえるならば、将来、「規制」をたてに「表現の自由」に行きすぎた制限をかけてくるのは、IT企業かもしれないのである。
まだまだ書きたいことは多々あるが、今回の「運動」から浮かび上がる最も興味深い謎は、右翼と左翼、あるいは保守と革新の軸と、
この運動の対抗軸とどのように交差しているのか、あるいはすれ違っているのか、という問題である。
「2ちゃんねる」とは結局、私たちの社会に何をもたらしたのか。開設以来すでに20年を過ぎた今、改めて考えることは大きな意味があるのかもしれない。
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【プロフィル】遠藤薫
えんどう・かおる 学習院大法学部教授。昭和27年、神奈川県生まれ。東大教養学部卒、東工大理工学研究科博士後期課程修了。
専門領域は社会システム論、社会情報論、メディア文化論。著書に『ソーシャルメディアと公共性』(東京大学出版会)など。
URLリンク(www.sankei.com)