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「慰安婦」認識の日米ギャップとサンフランシスコの慰安婦像
2/18(日) 12:30配信 グレン・S フクシマ
URLリンク(forbesjapan.com)
昨年末、友人の一人である米国上院議員が、先輩格の上院議員から電話があったと話してくれた。この先輩格の議員は、
かつてサンフランシスコの要職にあり、現在は国家安全保障問題を扱ういくつかの上院委員会に所属している。
この上院議員は私の友人に「日本政府からの要請で、東京から来た国家安全保障担当の日本政府高官と会った。
北朝鮮の核兵器・ミサイル開発と中国の軍事力増強についての議論だろうと思ったが、日本政府高官が面会の間、
最近サンフランシスコに建てられた『慰安婦』像に関する抗議に終始したことに驚いた」と話したそうだ。
報道によれば、ウィリアム・ハガティ駐日米国大使も9月25日に大阪を訪れた際、松井一郎知事と吉村洋文市長から
「慰安婦」問題を大きく取り上げられて驚いている。この問題は、日本では大きなニュースだが、アメリカで知っている人は少ない。
ここ数週間で日米間の認識ギャップは大きくなっている。吉村市長は、サンフランシスコのエドウィン・リー市長が11月22日に
慰安婦像のある場所を市有地に指定する決議に署名したことに抗議し、60年間続いた姉妹都市関係を解消した。
アメリカでは、ニュージャージー、バージニア、ミシガン、南カリフォルニアといった場所にも「慰安婦」像が建てられているが、
サンフランシスコの慰安婦像はいくつかの点で重要である。
第1に、サンフランシスコのような主要都市の中心地に建てられた最初の慰安婦像だということ。
第2に、サンフランシスコは、アメリカで最もリベラルで進歩的な都市の一つであるため、同市が市民の権利、人権、女性の権利、
LGBTQ(性的少数者)の権利、被害者の権利を主張する人をおしなべて支持するのは、意外ではないということ。
第3に、韓国女性だけを表現して主に韓国系アメリカ人から支持されていた以前の「慰安婦」像と異なり、新しい像は韓国、中国、
フィリピンの3カ国の女性を表現しており、「慰安婦」問題に対するアジアでの結束を示している。
第4に、慰安婦像は主にサンフランシスコの中国系アメリカ人社会に支持されていたが、「慰安婦正義連盟」からも支持されている。
この連盟には、韓国系アメリカ人、フィリピン系アメリカ人、日系アメリカ人、ユダヤ系アメリカ人が含まれている。同連盟によれば、
大阪を本拠地とする25の市民団体も同連盟の行動を支持しているとのことだ。
第5に、「慰安婦」問題は日本では主として歴史問題として扱われているが、他国、特にアメリカにおいては人権や女性の権利の
問題として見られている。
そして、10月に有名なハリウッドのプロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが、数多くのセクハラの訴えの結果、会社を解雇されてから、
40人以上の著名な米国人男性が、言葉または身体的に女性にセクハラをしたとして解雇されるか、厳しい批判に晒されている。
それは経済界、政界、マスコミ、スポーツ界に広がっている。
過去に男性からセクハラを受けたのに沈黙していた多くの女性が公に名乗り出て、その男性を公表し、糾弾している。ツイッターでの
「#MeToo(私も)」キャンペーンに勇気づけられてのことである。これは、女性が男性優位社会に対して権利を主張する革命的で
不可逆的な進歩であると多くの人が考えている。
こうした流れの中で、日本がこの問題を「慰安婦」の正確な数や日本政府による「強制」の有無に関する議論として主張しても、
海外からの支持を得ることは難しいだろう。1996年1月4日、国連人権委員会は、ラディカ・クマラスワミ特別報告者による
「戦時中の軍の性的奴隷問題について」の報告書を発行した。もし日本政府が当時自らの立場を積極的に主張していれば、
世界の世論を味方に付けることができたかもしれない。
しかし過去20年の間に、世界中で女性の権利の主張が今までにないほど強くなっており、最近のワシントン・ポスト紙に、
「なぜ、日本が植民地時代の『慰安婦』像の論争で敗れ続けているのか」との見出しが出るほど状況は変わっている。