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ハート出版、「朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦の真実―文化人類学者が読み解く『慰安所日記』」を刊行
URLリンク(www.zaikei.co.jp)
(略)
崔 吉城(チェ キルソン)著「朝鮮出身の帳場人が見た 慰安婦の真実」である。
崔氏は韓国京畿道楊州市出身で、子供の頃、朝鮮戦争を体験している。それも特異な体
験である。崔氏の村の人たちは、国連軍は平和軍であり、共産軍から自分たちを守ってく
れる天使のような軍だと思っており、大歓迎して迎えた。ところが、その国連軍の兵士た
ちは村の女性たちを襲い始めた。その性暴行は凄惨を極め、男子児童にまで被害が及んで
いる。結局、崔氏の村に慰安所ができ、それによって村の一般女性に対する性暴行は沈静
化したと言う。
そういう背景のある崔氏は、文化人類学者として、戦争とセックスの関係や、性と政治
が深く関わる韓国社会を研究対象としている(ソウル大学を卒業した崔氏は、現在、広島
大学名誉教授であり、東亜大学教授、同大学東アジア文化研究所所長を務めている)。
今回の著書で崔教授が研究の対象にしているのは、戦時中、日本軍占領地(ビルマ、シ
ンガポール)で慰安所の帳場人をしていた朝鮮人、朴氏が残した日記である。この日記は、
『日本軍慰安所管理人の日記』というタイトルですでに韓国で出版され、日本軍による朝
鮮人女性強制連行の決定的資料だとされている。
崔教授は戦後のバイアスのかかっていない日記原本に直接あたり、朴氏の足跡を尋ねて
現地調査も行っている。崔教授のスタンスは明確だ。日韓の政治的な立場から意識して離
れ、あくまで学術的に、日記から客観的な情報を、可能な限り引き出そうというものであ
る。引き出された情報は慰安婦に関するものにとどまらない。崔教授は「日本植民地時代
の朝鮮人の生活史を知る上で貴重なもの」とも述べている。
この日記を精読した崔教授によれば、「そうした慰安婦の連行などに関する記述は一切
ない。だが、それはその期間の日記が残っていないからだと言う人もおり、それを他の資
料で補充しようとする人もいる。だからこそ私は、この日記を忠実に読もうとした。それ
でもなお、この日記には、そうした『強制連行』に繋がるような言葉すらない」というこ
とであった。
さらに、崔教授は「この日記をもって『慰安婦問題を決着する!』と反日的に解釈する
人は多く、この日記がそのように利用されることは、まさに矛盾しており、滑稽なことで
もある。つまり、親日をもって反日としているからである」と、この日記を強制連行の証
拠と主張する人たちを批判している。
(続く)