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日本はよくトランプを手なずけた 中国に勝ち目はあるか?
URLリンク(www.newsweekjapan.jp)
ドナルド・トランプ米大統領は11月3日より、12日間のアジア歴訪中だ。日本に始まり、韓国、中国、ベトナム、フィリピンの5カ国を訪問する。
途中、ロシアのプーチン大統領とも会談する予定だ。アジア・ソサエティーの米中関係センター所長で米オンライン誌「チャイナファイル」の発行人を務めるオービル・シェルは、この旅を同行取材することになった。
この記事は、旅の途中でシェルがシリーズで寄稿した記事の第1回だ。
今回のアジア歴訪で多くの人が恐れているのは、中国の習近平国家主席が、いつものように過剰とも思える壮大なセレモニーで訪問者を圧倒し、
さすがのドナルド・トランプ米大統領も怖気づいてしまうのではないか、という点だ。しかし、11月5日、5カ国歴訪の最初の目的地である日本に到着したトランプの様子を見る限り、その心配はなさそうだ。
トランプは、海外駐在米軍(日本だけでも5万人に上る)が持つ迫力を認識し、米兵に演説することで自らの威光を見せつけた。
F16、F35を従えて
大統領専用機エアフォース・ワンが東京郊外の横田基地に着陸したころ、基地の巨大な格納庫では、報道陣と数千人の米陸海空軍の兵士、自衛隊の隊員数百名が、大統領の到着を待っていた。
格納庫内に設けられた演壇の背後には巨大な星条旗飾られていた。このセレモニーのために呼び出されたF-16戦闘機とF-35戦闘機も機首を演壇に向けて駐機していた。
大歓声に迎えられたトランプは威厳たっぷり、きっぱりとした口調で、「いかなる人物、独裁者、政権、国家といえども、アメリカの決意を決して過小評価すべきではない」と言い放った。
この演説は、アメリカがアジアでプレゼンスを持つことの必要性を示し、アジアの中でも「かけがえのないパートナーでありアメリカの重要な同盟国」である日本の存在を明確に打ち出した。
演説の中でトランプは繰り返し、日米が同盟国として特別な関係にあることを強調した。
トランプが日米同盟の重要性を強調したこと、そして市場経済や民主主義といった共通の価値観を持つ日本オーストラリア、インドなどと連携し、
太平洋からインド洋に至る「自由で開かれたインド太平洋地域」の実現に意欲を示したことは、非常に興味深い。なぜならそれは北朝鮮だけでなく、中国に向けたメッセージでもあるからだ。
北朝鮮による核武装の脅威にかこつけて、南シナ海や東シナ海で軍事的プレゼンスを急拡大させる中国をトランプは牽制した。
横田基地での演説や、東京・元赤坂の迎賓館で安倍と並んだ6日の共同記者会見、同行しているホワイトハウス職員らの話を聞く限り、トランプが日本に応分の防衛負担を求めたのは過去の話だ。
少なくとも、安全保障における日米同盟の根本的な必要性をトランプが理解したのは間違いない。
中国も国際社会の一員にしてしまえば普通の国になる、という対中「関与政策」や北朝鮮の核開発問題を話し合う「6カ国協議」をアメリカが信じていた楽観的な時代には、
日米同盟は時代錯誤にすら見えた。それが今、これ以上ないほど劇的な形で米外交の中心に返り咲いた。
トランプと安倍は、互いの支えに対して心から感謝しているように見えた。安倍との共同会見で、トランプはややオーバーにこう言った。
「日米両国の首脳がこれほど密接な絆で結ばれていたことはない」「アメリカと日本は100%共にある」「最初の訪問国が日本で、本当に良かった」
トランプと安倍がそろって日米同盟の重要性を強調し、両者が親密さをアピールする姿を観察していてはっきりしたことがある。安倍と習近平は今、トランプとの親密度を競い合う関係になっている。
尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権といった個別の問題を超えて、どちらがトランプの最大の関心を得られるかをめぐる争いだ。
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