17/08/04 18:18:22.34 QGeAUD/Z0.net BE:242914406-2BP(1000)
いま、労働市場では不思議な現象が起きている。労働力需給がひっ迫しているのに、賃金が上がらないのだ。
5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.01ポイント上昇の1.49倍で、1974年2月以来、43年3カ月
ぶりの高水準となった。
一方、「毎月勤労統計」によると、5月の実質賃金指数は、前年比0.1%増と、ほとんど上がっていないのだ。
経済学の理論によれば、労働力需給がひっ迫すれば、賃金は上昇することになる。
ところが、いまの日本は経済学の原理が成り立っていないのだ。
賃金が上がらない理由は、高齢化の進展だという指摘もある。
欧米と異なり、日本の場合は60歳の定年を境に賃金が大きく下がるから、高齢化が進展すると、人口構造
の影響で賃金が下がってしまうというのだ。
その影響はゼロとは言えないが、本質的な問題ではない。
「賃金構造基本統計調査」で年齢別の賃金をみると、40代の賃金も、50代の賃金も下がっているからだ。
やはり、企業は強い意志で賃金を抑制している。つまり、成長の成果を働く人に分配しなくなっているのだ。
法人企業統計によると、昨年度末の企業の内部留保は、前年比23兆円増の390兆円に達している。
内部留保は、設備投資等に回されているので、企業がすぐに使えるお金ではないという指摘もあるが、
企業の保有する現預金も前年比8兆円増の189兆円に達している。
企業は賃金を上げるのではなく、とにかく内部留保を増やすことに躍起になっているのだ。
なぜそんなことになるのだろうか。それは、経済学の基本理念に明確な変化があったからだ。
1980年代まで、経済学は付加価値の源泉を「労働価値説」でとらえていた。
働く人が額に汗して一生懸命働くから、付加価値が生まれる。
だから、労働者は経済にとって最も大切な存在だったし、稼ぎ出した付加価値は、まず労働者に分配され
るべきものだったのだ。
かつて松下幸之助は、
「会社は従業員だけでなく、その労働を支える家族の部分にまで責任を持つべきだ」
と発言した。
会社は、そもそも従業員のために存在していたのだ。
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