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誰のための被災地視察か 稲田朋美防衛相の“頑張ってますアピール”ではなかったか
稲田朋美防衛相は14日、豪雨災害の被災地である福岡県朝倉市を視察した後、記者団にそう語った。
しかし、誰のための視察だったのだろうか。本当に現場の自衛官や被災者のためか。稲田氏の“頑張ってますアピール”のためと疑うのはうがった見方だろうか。
■案内する現場に負担
自衛隊は大分県からは撤収したとはいえ、福岡県では4千人態勢で行方不明者の捜索や救援活動を続けている。
稲田氏自身が述べた通り、隊員はなお「身体、生命、危険を顧みず全力で救援活動に取り組んでいる」最中だ。
そんな折にトップが多数の高官を引き連れて現地入りすれば、案内する現場の負担は大きいし、救援の人手を引きはがすことにもなる。
防衛省幹部は「現場は災害救助で手いっぱいで、視察先もギリギリまで決まらなかった」と明かす。
不明者の捜索現場では、視察に訪れた稲田氏を出迎え、整列した隊長らは作業の手を止めざるを得なかった。
首相や防災担当相の被災地視察には意味がある。被災者や自治体のニーズを把握することは復旧・復興に不可欠だし、
復興予算を国が支援する「激甚災害」指定の判断に必要な政治的プロセスでもある。一方、防衛相の部隊激励は、いわば防衛省の組織内の論理であり、被災者には関係ない。
激励は隊員の心に響いたか
稲田氏は東京都議選の応援演説での不適切な発言をはじめ、さまざまな言動で防衛相としての資質が問題視されてきた。
過去に潜水艦を視察した際は、ハイヒール姿で潜水艦に乗り込み「かえって士気が低下した」(海上自衛隊関係者)と厳しい声があがった。
今回の九州北部豪雨災害の発生後も自身を含む政務三役が約40分間、役所を留守にしたことで批判を浴びた。
そうした批判を意識し、隊員をねぎらい、被災者に寄り添う姿勢を示そうと視察を決めたのかもしれない。
隊員一人一人と握手し言葉を交わす姿には真摯さもうかがえたが、来月3日に予定されている内閣改造で退任が確実視される防衛相の激励がどれほど隊員の心に響いただろうか。
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