23/06/19 20:15:24.34 0.net
人間と本能だけで行動する動物や昆虫との違いはなんであろうか。それは、
人間は理性を持って判断し、行動出来ることである。理性の重視と大切さは、
古代のストア哲学でも、しばしば論じられてきたものである。
だが、現代でも人々は動物化することをやめようとはしない。後先考えずに
動物的に子供を作り、不倫をし、目先の快楽をむざぼり、あとで、その子供が
不幸になったり、苦しみの多い絶望的な人生を送るようになったりすることを
想像することはないのである。未来を奪われた犯罪や売春に走るZ世代は、
彼らの人生の苦しみと絶望の雄叫びを表明しているのである。
反出生主義者のような理性を尊ぶクラスタは、そうした苦しみを被る意識的な
主体や子供を作らないという点において、本能のまま無思慮に行動する者よりは、
存在論的に優れているといえよう。また、反出生主義は必然的に人口削減にも
寄与することになるので、エコロジーにも優しいクラスタにもなっている。
アリストテレスは、世界に生起する現象の原因に、4つの原因があるとした。そして、
究極原因としては第一原因があるとした。要するに、ビッグバンから始まる人類や
生命系のあらゆる不幸や害悪は、この原初の巨大な一撃である第一動者からの
派生や、そのヘーゲル的な展開に過ぎないともいえるのである。反出生主義者の
願う幸福は、このような出生の持つ一方的暴力から、永遠に解放されることを志向
しているのである。