24/10/25 16:37:16.37 e7boiKEk.net
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結論から先に言えば、筆者は「破墓/パミョ」が「反日的」だとは思わない。この記事では映画の内容に一部ネタバレで触れつつ、そこをつまびらかにしていきたい。(※映画未見の方は、ぜひ映画を見てからお読みいただきたい)
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実は映画には、最初から「反日的」と言われかねない要素が埋め込まれている。まずは主人公4人の名前が、かつての抗日闘争の活動家の名前であること。そして呪われた一族は、日帝時代の日本に協力して財を成した「親日派(チニルパ)」である。
だが、その色がより強まるのは、呪われた一族の話が一段落した後に始まる全く新たな展開においてだろう。ここに、まことしやかに囁かれた日帝時代の都市伝説―日本軍が韓国の風水的な名所に、国の精気を奪う目的で鉄杭を打ち込んだという「鉄杭事件」が絡んでくる。棺を運び出すために掘り返された墓穴には、かつて日本の陰陽師によって、「鉄杭」以上にヤバイものが密かに埋められているのだ。
作品の源泉となっている日本カルチャー
こうした作品が韓国で大ヒットを記録したと聞けば、「韓国はいまだに反日映画なのか」と思う日本人は多いだろう。実際に韓国でも「反日マーケティングが功を奏した映画」とも言われているようだが、それはデータから見える事実とは異なる。
韓国ではコロナ禍以降、日本で言うところの「反日的」な作品―倭寇を蹴散らした英雄イ・スンシン将軍を描く「ハンサン 龍の出現」も、伊藤博文を暗殺した安重根(アン・ジュングン)が主役の「英雄」も、名優イ・ソンミン演じる狂気の老人のチニルパへの復讐劇「復讐の記憶」も、日帝時代のある暗殺計画をスター総出演で描いた「PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ」も―軒並みコケている。
損益分岐点をようやく超えたのは、大ヒットシリーズの2作目である「ハンサン 龍の出現」のみで、「反日的」な作品は若い世代から「クッポン」(国+ヒロポン=麻薬的な愛国主義)という言葉で揶揄されることもしばしばだ。そういう状況下での「破墓/パミョ」の大ヒットは、観客が特に「反日的」要素に反応したことによるものとは考えにくい。
ならばなぜヒットしたのか。その理由は極めて単純にエンタテイメント作品として面白いからなのだが、その源泉となっているものが日本のカルチャーなのだ。
チャン・ジェヒョン監督は、日本のカルチャーが公式・非公式に韓国に浸透していった時代に育った81年生まれ。「映画を学んでいた若い頃に最も影響を受けたのは日本の映画と漫画」と公言し、プライベートでの訪日経験は50回を超える。
「破墓/パミョ」の後半で登場する“ヤバイもの”にも、あらゆる部分で日本の影響が見て取れる。その声を演じているのは日本屈指のある人気声優だ。これまでの韓国映画なら、カタコト日本語の韓国人や、日本語が流暢な無名キャストというパターンだが、監督は日本のアニメで惚れ込んだその声優にオファーしている。そして映画をよくよく見れば、この“ヤバイもの”が全世界を探しても日本にしか存在しない「妖怪」であることもほのめかされている。
監督は「妖怪」が好きすぎて、大学時代は「妖怪研究会」にいた らしい。つまりこの映画は、日本文化へのオマージュとリスペクトに満ちたホラー映画なのである。筆者はそうした映画を「反日的」とは感じない。
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この点でいうなら、韓国映画でも現在の日本を激しく悪しざまに描くものは、そう多くは作られていない。ほとんどすべての「反日」映画が「反大日本帝國」映画である。筆者自身、当時の日本の戦争犯罪と自分は全くの無関係とは思ってはいないが、自分がなじられているかのような感情的反発は覚えない。
なぜなら戦後の日本もドイツ同様に、政治体制や統治体制が180度転換し、まったくの別の国だと理解しているからだ。「反日」と反発する人は、そうは思っていないのだろうか。
全文はソースで
【映画ジャーナリスト/渥美志保】
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