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【北京・坂本信博】中国の新疆ウイグル自治区で、ウイグル族が人口の8割超を占める28市県のうち27市県の出生率が、2014年~18年の5年間に約2~9割減少していたことが自治区政府の統計資料で分かった。出生率が下がる一方、死亡率が高まり、移住を除く人口増加率が5年間で約10分の1に低下した地域もあった。漢族が集まる地域は出生率が上がっており、不妊処置強要などウイグル族を狙った人口抑制策が実施された疑いが強まった。
ウイグル問題を巡り、米英は来年2月の北京冬季五輪に政府高官を派遣しない「外交ボイコット」を検討している。弾圧の疑いがさらに強まったことで日本政府も対応を迫られそうだ。
西日本新聞は自治区統計局がまとめた「新疆統計年鑑」を入手。地域別の人口データが非公開となった19年分を除いて全105市区県別の民族人口や出生率、死亡率などを分析した。
ウイグル族の集住地域である28市県のうち、南部カシュガル地区の叶城県では、出生率(人口千人当たりの出生数)が14年の86・94から18年は12・12に急落。5年間で86%減となった。他の26市県でも出生率が2~8割低下した。ウイグル族が人口の93%を占めるカシュガル地区全体の出生率は約7割減。97%を占める南部ホータン地区全体では約6割低下していた。
産児制限「一人っ子政策」が15年に撤廃されたことに伴い、中国全体では16年から不妊手術や子宮内避妊具(IUD)装着手術が減少したが、新疆では逆に不妊処置件数が14~18年に急増。年鑑によると、18年時点で不妊手術を受けた自治区住民の99%、IUD装着者の63%がウイグル族の集住地域に集中していた。出生率の低下はこの影響が大きいとみられる。
自治区全体では14~18年に死亡率(人口千人当たりの死亡数)が約1割減少したものの、ホータン地区では8市県のうち5県、カシュガル地区では12市県のうち10市県で死亡率が上昇。カシュガル地区の巴楚県では14年の4・25から18年は自治区内で最も高い15・04となり、3・5倍になった。原因は不明だが、出生率の低下と死亡率の上昇によって、移住を除く人口増加率がホータン地区では8割、カシュガル地区では9割近く下がった。
一方、漢族が人口の8割超を占める6市区のうち、一部データが不記載の1市を除く5市区全てで出生率が上昇した。一人っ子政策撤廃で都市部の漢族も2人まで子を認められるようになった影響とみられる。
中国政府は9月に公表した新疆の人口動態に関する白書で「過去20年のウイグル族の人口増加率は年平均1・67%で全国の少数民族をはるかに上回る」と強調。不妊手術強制も否定し「自主的な選択」とした。自治区全体の出生率は17~19年の2年間でほぼ半減したが白書は言及していない。
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