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【台北=中村裕】台湾の国防部(国防省)は15日、中国軍の戦闘機など、過去最多となる計28機が同日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。主要7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言で「台湾海峡」に言及したことに強く反発したとみられる。中国大陸と台湾の緊張が再び高まってきた。
国防部の発表によると、中国軍の戦闘機「殲16」14機など合計28機が侵入した。台湾の南西部から侵入を試み、南部のバシー海峡の上空を通り、南東部にまで回り込むなど、広範囲に威嚇した軍機が多かった。台湾軍は空軍機が緊急発進して警告したという。
年明けから断続的に台湾の防空識別圏に侵入を繰り返していた中国軍機だが、最近は行動を手控えていた。直近3週間でみると侵入が全くない日も増え、あっても1機の侵入に限られていた。
1日で28機が侵入するのは異例だ。「台湾」に言及した日米共同声明発表の直前の4月12日に25機が飛来して以来、約2カ月ぶりの大量侵入となった。
13日に閉幕したG7の共同宣言は「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。G7首脳の共同宣言で台湾海峡に関する文言が入るのは初めて。
中国は7月1日に共産党創立100年を控え、台湾への軍事的な圧力を抑えていた。だが、G7サミットを通じた国際社会からの圧力に、抑制がきかなくなった可能性がある。
中国外務省の趙立堅副報道局長は15日の記者会見で、台湾について「米国などいくつかの国が意図的に対立を作り出している、中国は強い不満を持ち、断固反対する」と述べた。「(台湾は)中国の純粋な内政問題であり、いかなる外部の干渉も許さない。米国は病気だ。非常に病んでいる」と批判した。28機という大量の中国軍機を使って国際社会に強い不満を示したかったのは確実だ。
米海軍は15日、原子力空母「ロナルド・レーガン」が南シナ海に入ったと発表した。「通常の定期的な任務の一環」としている。南シナ海で広く領有権を主張する中国は、こうした米国の行動にも強い反発姿勢をみせたかったものとみられる。
日本経済新聞 2021年6月15日 22:15
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中国軍機が15日、台湾の防空識別圏に大量侵入した=国防部(国防省)提供