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【ワシントン=黒瀬悦成】人工知能(AI)およびその関連技術の開発に関し、米政府の委託で独立した立場から調査を行う「AIに関する国家安全保障委員会」(NSCAI)は1日、議会に提出する最終報告書で、AIなどに関する重要技術が中国人民解放軍に窃取されることを防ぐため、米国の大学が対策を強化すべきだと提言した。
米当局は昨年、西部カリフォルニア州のスタンフォード大や中西部インディアナ州のインディアナ大などで、中国軍とのつながりを隠して客員研究員や学生として研究活動をしていた中国人少なくとも5人を逮捕・起訴している。今回の提言を受け、議会でも中国軍による先端技術窃取の阻止に向けた法案作成の動きが活発化しそうだ。
NSCAIは、国家安全保障と国防の観点からAIや関連技術をめぐる開発のあり方を探るため、2018年に設立された。委員長を米グーグルの元最高経営責任者(CEO)であるエリック・シュミット氏が務め、マイクロソフトやアマゾンの経営幹部も委員に名を連ねている。
報告書は、中国などがAI分野での米国の支配的な地位を脅かしているとして強い危機感を表明。各大学に対し、AIをめぐる研究開発費の調達先や、外部の企業や団体などとの提携関係をより明確に開示すべきだと指摘した。
また、中国軍とのつながりが疑われる人物や団体が大学に入り込むのを事前に阻止するため、これらの個人や団体に関するデータベースを作成し、共有することを提案した。
さらに、中国とのAI技術開発競争で後れをとらないため、自律型兵器システムを含むAI兵器の開発を禁止すべきでないと主張。制度面では、AI技術の総合的な戦略を構築するための「技術競争力に関する審議会」の設立や、IT分野での傑出した人材を育成するための専門教育機関の設置などを訴えた。
産経ニュース 2021.3.3 19:00
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