21/01/21 10:29:24.94 CAP_USER.net
2021年6月に中国の「高等学校(大学・短大・高専)」(以下、総称して「大学」と呼ぶ)を卒業する「応届畢業生(新卒者)」は、900万人の大台を超して909万人になることが予想されている。この数字は2020年12月1日付で中国政府「教育部」と「人力資源・社会保障部」が連名で公表した推計だが、2022年の大学新卒者は1000万人を超えると予測されている。
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ところで、2021年6月に大学を卒業して社会人となる大学卒業予定の新卒者にとって最大の関心事は就職であるが、昨今の中国に909万人もの大学卒業者を受け入れるだけの就職先が存在するのだろうか。
中国は、2018年7月から始まった米国との貿易戦争の影響を受けて対米輸出が大きく落ち込んだことにより、輸出産業の倒産が続発している。そればかりか、生産拠点を中国から労賃が低廉な国へと移動させる企業が続発している。
これに追い打ちをかけたのが、2019年12月に湖北省武漢市で発生したとされる「武漢ウイルス(SARS-CoV-2)」による「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」(以下「新型コロナ」)であり、2020年1月から2021年1月の現在まで1年以上にわたって中国国内のみならず海外を含めた市場の需給を低迷させている。
この結果、広東省の広州市や深圳市では多数の商店が営業休止や閉店を余儀なくされているし、広東省各地で生産企業の倒産や休業が多発していると言われている。これは広東省に限った話ではなく、中国全土に新型コロナの感染と同様に蔓延しつつある。
こうした経済状況下においては、中国企業(国有企業・民営企業)の求人需要は大幅に落ち込み、即戦力にならない大学新卒者の雇用機会は極度に縮小しているのが実情である。
就職率たったの20%すら割り込むか
2020年12月に中国メディアが報じたところによれば、昨年(2020年)の大学新卒者(874万人)の就職率は20%未満であり、今年(2021年)の大学新卒者の就職は昨年以上の困難が予想されるという。
この20%未満というのは、インターネットの学習サイト「学慧網(ネット)」が2020年8月に発表した『2020年新卒者就職状況調査報告』の中で、「2020年新卒者の就職者数は全体の33%だが、そのうち正式な就職確定比率は13%に満たない」とあるから、当該報告の数字が正しいのであれば、昨年の8月から11月までの4カ月間で正式に就職できた新卒者は7%に達していないということになる。
この点について、同報告は、「中国国内の景気低迷のあおりを受けて、2020年の新卒者は考えられる限りの就職希望先へ彼らの履歴書を送付しても、その多くが面接試験の通知さえも受け取っていないのではないだろうか」と述べて、就職難の深刻さを表明した。
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2020年12月に北京大学・国家発展研究院の院長である姚洋は次のように表明した。
「国家統計局は昨今の失業率が6%前後を維持していると発表しているが、それは不正確である。さらに、国家統計局の失業率統計は都市部人口を基準としており、非都市部(農村部)人口を含めていない。国家発展研究院のグループが6月末にインターネットを通じて都市部の6000人を対象に行った調査によれば、失業率は15%に達しており、それ以外の5%が半失業状態にあるので、失業率は20%ということができる。中国の就業人口を7億人として、その内の70%が都市部就業人口だとすれば約5億人になるが、これを失業率20%で計算すると失業者数は1億人になる。」
姚洋院長が言うように失業者が1億人もいるのであれば、1200万人もの大学卒業生が就職できる可能性は極めて少なく、中国共産党幹部の子弟や親戚などの強力なコネや特殊な才能を持たない限りは就職できないと言って良いだろう。
そうなると、大学卒業生が就職できない問題は、中国共産党と中国政府にとって解決を図るべき最重要課題ということになる。
そこで提起されたのが、「新時代の上山下郷」であった。中国語の「上山下郷」とは「下放」とも言うが、上述した文化大革命(1966~76年)の時期に学生や幹部などを農山村へ送り込み、長期間定住させて思想改造を行うと同時に、農山村の社会主義建設に尽力させること意味する。
「新時代の上山下郷」とは、就職できない大学卒業生を辺境の地である新疆ウイグル自治区やチベット自治区などを含む西部地区や発展途上地域の重点領域に就職させることで国家に貢献させようというものである。
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