18/12/11 21:19:56.06 CAP_USER.net
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▲木宮正史(キミヤ・タダシ)東京大学教授
徴用労働者に対する損害賠償を日本企業に命じた大法院判決と関連して韓国では人権を侵害された被害者が加害者の「戦犯」企業から補償を受けるのは当然で、今までそうではなかったことが異常だったという論調が支配的だ。また、判決に強力に抗議する日本政府は居直りであり、それに屈服してはならない、と韓国の人々は主張する。
一方、日本では1965年韓日国交正常化の基礎になった請求権協定で徴用問題は「完全かつ最終的に解決」したにもかかわらず今回の判決は協定をひっくり返すものであり受け入れられないという反応だ。韓国は解決された問題をまた取り出して提起する「ゴールポストを動かす」国家というイメージが再確認されたと考えている。
韓国と日本の社会が各自の正義を前に出して判決をめぐり正面対立している。その隙間に挟まったのが韓国政府だ。日本政府から「国家間の約束を守れ」という猛烈な抗議を受けるかと思えば、国内では「判決を尊重して日本に屈するな」という圧迫を受けている。どちらも「正義」を前に出して相手を正しくないと見るだけに妥協は容易ではない。
請求権協定締結当時の韓国政府指導者の認識や2005年にノ・ムヒョン政権が示した認識も徴用問題は解決済みということだった。従って大法院判決は政府の既存の見解と違っただけにムン・ジェイン政権がどのような立場を示すのかに関心が集まる。
解決済みという従来の立場を堅持するのか、それとも立場を変えるのか、万一、変更するなら従来の立場との整合性をどのように説明するのか先ずは見守りたい。
大法院判決は徴用労働者の被害者の訴えをどうにか認める、という結論が先にあったのだろう。そのため、韓日請求権協定で「解決された」という既存の解釈を跳び越えるほかはない。そのため、判決は植民支配の違法性をめぐる韓日歴史観の対立に今さら焦点を合わせた。
さらに2005年、韓国政府が徴用問題は解決済みという見解を出したにもかかわらず、慰安婦、サハリン韓人、韓国被爆者など三つの未解決事例のような「反人道的行為」の範疇に徴用を入れることによって未払い賃金次元ではなく、人権侵害にともなう精神的慰謝料などは解決されていないと判断した。
韓国の有能な裁判官らが出しただけに法的論理では理解できるが、1965年協定に至るまでの国交正常化交渉、その後の両国関係を見守った研究者の目で見れば今回の判決が協定を継承したものでなく、上書きしたことだけは間違いない。それで日本政府が「予想を跳び越える影響」と強調するのも無理はない。
いつも思うが韓日歴史問題はしっかりした関係を構築しなければ解決しにくい、ということだ。しかし歴史問題が登場するたびに韓日関係が弱まりそうで心配になる。目前に問題が生ずれば解決するのは当然だ。しかし、なおさら大切な韓日関係がそれだけ弱くなる現実を直視しなければならない。この様な矛盾を認識し解決することこそ健全な関係構築に至る道だと見る。
韓国では歴史を反省しない居直りの「戦犯国家」日本というイメージが、日本では過去の歴史だけ執着して未来指向は毛頭ない「ゴールポストを動かす」韓国というイメージが拡大再生産されるのではないだろうか。それでよいのだろうか。
鍵を握っているのは韓国政府だ。一部で提起されたように政府・企業が共同出資する財団を設立し、日本企業が「自発的に参加」という構想はどうか。3者で構成された財団が補償はもちろん、まだ明らかになっていない徴用問題の全貌を後世に伝えるように調査・研究をする。韓日間にこの様な知恵を集められないか提案したい。日本政府も邪魔せずに構想を支えなければならないのは言うまでもない。
ソース:ソウル新聞(韓国語) [グローバルIn&Out]韓国の「正義」と日本の「正義「/兆しがタダシ東京大教授
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