18/02/23 14:08:18.16 CAP_USER.net
北朝鮮と日本外交/五輪後の役割を考えたい
北朝鮮を巡る情勢は、韓国で開催中の平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピックの閉幕後に再び緊張感を増す局面を迎える。五輪後に予定される米韓合同軍事演習に北朝鮮がどう反応するのかが、まずは焦点だ。
北朝鮮は五輪を利用して韓国に南北和解を働き掛けた。日米韓の分断を図り、制裁圧力を骨抜きにする狙いだろう。核・ミサイル開発のための時間稼ぎとみるべきだ。
各国は核・ミサイル開発放棄に向けて連携して取り組む必要がある。国連決議に基づく制裁が履行されていない面もあり、着実な実行が必要だ。ただ核・ミサイル開発放棄の実現には、最終的には米国と北朝鮮の直接対話が不可欠になろう。
日本政府も五輪後に向けて備える必要がある。安倍晋三首相は「対話のための対話は意味がない」として一貫して圧力の強化を各国に働き掛けてきた。圧力は北朝鮮に政策転換を迫る方策ではあるが、暴発を招く懸念も拭えない。
首相はトランプ米大統領との親密な関係を強調する。そのパイプを生かし米朝対話の実現を促すべきではないか。同時に日米韓の連携のために、日韓関係への配慮を尽くすなど、果たせる役割に取り組む必要がある。
朝鮮半島情勢は各国の思惑が入り交じり、複雑さを増している。その目標と手段は明確に区別して整理したい。目標は言うまでもなく北朝鮮の核・ミサイル開発の放棄であり、朝鮮半島の非核化だ。日本には、拉致被害者の帰国という課題もある。
一方、手段は限られている。北朝鮮に対する武力攻撃は韓国や日本にまで深刻な影響を及ぼす。絶対に回避すべきであり、外交による解決しか手段はないのだ。
北朝鮮は五輪開会式に金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キムヨジョン)氏を派遣し、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の訪朝を要請した。大統領は前向きな姿勢を示したが、同時に「南北関係の発展には米朝対話が必要だ」として北朝鮮に米国との対話を促した。
米側にも対話を模索する動きがある。五輪開会式に出席したペンス副大統領は金与正氏と会談することで合意していたが、北朝鮮側から直前にキャンセルされたことが明らかになった。ペンス氏は帰国後も対話を否定しない姿勢を示している。ただトランプ大統領の意向は不明確で、米国の方針は定まっていないようにも見える。
米朝対話が実現すれば北朝鮮が求める「体制保証」に米側がどう応じるかが焦点となろう。一方で日本としては北朝鮮を核保有国として認める米朝交渉は容認できない。
首相が「対話」を否定するのは、過去の北朝鮮との対話でも核・ミサイル開発を阻止できなかった経緯があるためだ。しかし対話を糸口としなければ事態打開は難しい。今行うべきなのは日本の立場を米政府にきちんと伝え、対話を促すことではないか。日本独自に北朝鮮との対話ルートを確保しておく必要もある。
韓国への配慮も怠るべきではない。首相は文大統領の訪朝に関し、慎重な考えを示しているが、分断されている南北の和解に向けて大統領が動くのは当然ではないか。韓国の動向に一定の配慮を示した上で、日米韓の連携を再確認していくべきだ。
ソース:山陰中央新報 2018年2月23日
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