17/10/29 07:25:53.09 CAP_USER.net
中国人留学生の帰国者が増え始めた
最近、ネットで読んだ中国人留学生に関する、あるニュースに驚きを覚えた。その記事によると、年度単位で見て、海外へ留学する中国人学生より、中国に帰国した中国人学生の方が多くなったという“逆転現象”が起きたというのだ。この記事は、次の事実を指摘している。
2004年から2016年にかけて、海外に留学した中国人留学生が帰国するケースが継続的に増加しているという。そのうち、2004年から2010年までは、帰国者数が前年度比10%増程度という小幅な増え方だったが、2008年以降になると、まるで階段を上るかのような急速な増加ぶりを見せているというのだ。
例えば、2012年の帰国者率は68.3%だったが、2013年には一気に85.4%と、20%近くの急増となり、中国人留学生の帰国率の記録を更新。それ以降の3年間も、それほどまではいかないものの、かなり高いパーセンテージを保っているという。
日本の文部科学省に当たる中国の教育部が公表した統計データーによれば、2016年、海外留学に行った中国人留学生は54万4500人で、2015年より2万800人増、率にして3.97%増加している。だが、これと帰国した中国人留学生とを比べると、帰国した方が1.7%上回っているのだ。
こうしたデータを見て、中国国内では「ついに中国の人材流失現象に終止符が打たれた」と喜ぶ声もある。だが専門家の間では、留学期間を考慮し、3年前ないし4年前に出国した留学生数と比較すべきだという考え方が主流をなしている。つまり、2013年の出国者数と2016年の帰国者数とを比較すべきだというわけだ。
ただ、そうした比較をしても2011年からは帰国者数の方が多く、人材の“黒字化現象”が続いているという。
中国政府が苦々しく思っていた門戸開放に伴う人材の海外流出
中国政府は、「門戸開放」の象徴でもある人材の海外流出を、時に苦々しく思っていた経緯がある。1970年代の後半、文化大革命が終結し、改革・開放路線を進めた中国では、四つの近代化の実現が最大の課題とされていた。しかし、近代化の実現には、進んだ外国の技術を理解できる大量な人材が必要だ。
このような人材を養成するため、中国政府は80年代に入ってから米国、日本、ドイツといった国々に、多くの留学生を国費で派遣し始めた。数年後には、外国で先進的な技術を身につけた留学生たちが中国に戻り、中国の近代化を速めてくれるだろうという狙いがあったのだ。
こうした形で外国に派遣された留学生は「国費留学生」と呼ばれ、そのほとんどが厳しい選抜をくぐり抜けたエリートたちであり、中国にとっては貴重な人材である。さらに1986年には、個人で海外へ渡航することも認め、出国の規制が大幅に緩和された。そうした緩和を利用して現れたのは私費留学生、つまり自ら渡航費や学費などを負担して留学する人たちである。
しかし、ここに中国政府はの“誤算”があった。期待をかけられたエリート留学生たちが、いったん海外に出てしまうと、なかなか中国に戻ってこなかったのだ。それどころか、海外への永住を希望する人が増えるばかりとなった。
私はこれらの人を「新華僑」と名づけたが、それはやがて海外に移住する中国人の代名詞となった。改革・開放政策の実施したころから1990年代半ば頃まで、留学生として外国に渡った人の総数は25万人に上ったが、「戻ってきたのは8万人」という厳しい現実を、当時の中国政府関係者も認めている。
天安門事件後、中国政府は一時期、海外に暮らす留学生たちに「帰国服務」、つまり祖国に戻って国に尽くすことを求めた。予定どおりに帰国することを「愛国心の現れ」と高く評価し、海外に残ったままの人をまるで犯罪者扱いしてきた。だが、こうした高圧的な措置が多くの人々の反感を買い、留学生はますます帰国しなくなり、新華僑の陣営は拡大する一方だった。
まるで時代に逆行するような、そうした当時の流れを見て、鄧小平は留学生の言動を厳しく追及せず、中国と海外を行き来する自由も保証し、たとえ一時帰国の形でもいいから帰国することも歓迎する、といった趣旨の発言もした。こうした政策変更は、新華僑たちから高く評価されたが、それでも中国に帰国する人数の増加には大して寄与しなかった。
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(続く)