17/10/14 05:55:03.06 CAP_USER.net
電撃的な“国難突破解散”だ。安倍晋三首相は9月28日に召集された臨時国会で衆議院の解散を宣言、10月22日投開票の総選挙が始まった。安倍首相は9月25日の記者会見で、消費税の使いみちの見直しや北朝鮮問題への対応について「国民に信を問いたい」と語っている
2012年12月の政権交代で第二次安倍内閣が発足後、アベノミクスによって株価上昇などが伝えられ、日本の景気拡大局面は戦後2番目の長さを記録している。一方で、好景気の実感は薄く、国会では「森友学園」「加計学園」をめぐる疑惑で安倍政権の支持率が急落した。
この時代に、日本はどうあるべきか。安倍政権の問題点はどこにあるのか。旧民主党時代に自民党からの政権交代を果たし、09年9月から10年6月まで第93代内閣総理大臣を務めた鳩山友紀夫氏に話を聞いた鳩山氏は12年に政界を引退後、シンクタンク「東アジア共同体研究所」を設立、現在は同所の理事長を務めている。
「アベノミクスで好景気」の嘘
―まず、約5年続く安倍政権の評価についてお聞かせください。
鳩山友紀夫氏(以下、鳩山) 森友・加計問題をめぐって、国民に対して嘘をつくような姿勢を示したことは非難されてしかるべきだと思います。首相は行政のトップですから、問題の多寡にかかわらず嘘を言うようなことがあってはなりません。その政治姿勢に問題があります。疑惑が払拭されない以上、今後も厳しい状況は続いていくと思います。
アベノミクスについても、成功しているとは思っていません。確かに、異次元の金融緩和によって大手企業の株価は上がる一方ですが、中小・零細企業の苦境は相変わらずです。国民の所得も上がっているとはいえず、資産のない家庭が年々増加しています。大義であったはずの物価上昇率2%という目標も、いまだに達成されていません。
安全保障政策にも疑問があります。隣国である中国や北朝鮮を非難し、叩き、それによって「自らは素晴らしい指導者である」という姿勢を示す。その結果、それらの国との関係が悪化し、双方とも軍事力を高めています。確かに、中国には膨張主義の面があり、北朝鮮の核・ミサイル開発は現実に進んでいます。脅威であることは否めません。
しかし、大切なのは、隣国を一方的に悪者のように扱うことではなく、いかにこの世から戦争をなくす努力をするかです。過度に脅威を煽ることで一時的に評価は上がるかもしれませんが、それでは根本的な問題は解決しません。対話を密に行い、東アジア全般に平和をもたらすような政権であってほしいと願っています。
「北朝鮮のミサイルが日本全体をターゲットに」
―北朝鮮は日本も名指しで攻撃対象に挙げるなど、情勢が緊迫化する一方です。
鳩山 北朝鮮の核・ミサイル開発については、脅威がないわけではありません。しかし、ミサイルが発射されて、Jアラート(全国瞬時警報システム)で緊急情報を伝達したところで、どれだけの意味があるのでしょうか。
まず、北朝鮮の目が向いているのはアメリカです。朝鮮戦争はまだ休戦状態であり、平和条約を締結していない以上、アメリカとの戦争状態は続いています。北朝鮮から見ればアメリカの核やミサイルは確実に脅威であり、アメリカに対抗するために核・ミサイル開発を進めているのです。最終的には、北朝鮮が優位なかたちで平和条約を締結するのが狙いでしょう。
日本は、そのアメリカや韓国と同じ立場です。そして、国内に米軍基地があり、安倍首相が国連総会の場で経済制裁と圧力を強く訴えていることから、北朝鮮が日本に敵意を持つのも当然です。このままドナルド・トランプ大統領をサポートし続ければ、北朝鮮のミサイルが日本全体をターゲットにすることもあり得るでしょう。
今、日本が行うべきことは暴発的な危機を煽ることではなく、アメリカと北朝鮮が直接対話しやすい環境をつくっていくことです。日本が仲介するかたちで、話し合いによる解決を促すことが大切です。
―ありがとうございました。
次回は、中国が推し進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)や一帯一路、日中関係について、さらに鳩山氏の話をお伝えする。
(構成=長井雄一朗/ライター 写真=尾藤能暢)
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