17/10/10 02:10:45.50 CAP_USER.net
「武力攻撃が迫り、又は現に武力攻撃が発生したと認められる地域に当該市町村が含まれる場合には、原則としてサイレンを使用して注意喚起が図られることとなっています」
内閣官房が設けたホームページに、そう書かれていた。「サイレン音の再生」という表記がある。クリックしてみた。
突然、ジェットエンジンの唸(うな)りみたいな鈍い金属音。音程は次第に上がり、やがて尻すぼみになり14秒間つづいた。
◆「北朝鮮はコワい国」を刷り込む警報
8月29日の朝、北海道や青森の街に、この警報が鳴り響いた。
Jアラート。「全国瞬時警報システム」という現代の空襲警報である。
サイレンが鳴ると爆弾が落ちて来る。差し迫った危機を知らせるのが空襲警報だった。
Jアラートは「武力攻撃が迫り、発生したと認められる地域」に発せられる。鳴ったということは「武力攻撃があった」ということだ。果たしてそうだろうか。
29日午前5時58分、北朝鮮の平壌空港近くから発射された火星12号は、6時14分、襟裳(えりも)岬東方約1100キロの太平洋に落下した。日本通過は高度5500キロの大気圏外を数分だけ。爆薬は装てんされていない。飛翔体が、航空機が飛び交う高度のはるか50倍上空を横切った程度のことだ。
「武力攻撃あり」と警報を鳴らし、人々を驚かせ、新幹線を止めたり、NHKの朝の連続ドラマを中止したりするほどのことだろうか。
Jアラートが発動されるようになったのは2年前だ。ミサイル警戒システムの進化で米国の軍事衛星が発射を探知するようになった。それを日本への武力攻撃とむすびつけて警報を鳴らすことが妥当なのか。
政府が警報システムを作れば、自治体も対応を迫られる。対応は避難である。小学校や役場など公共機関は、避難計画を作る。差し迫った危機を感じていないのに、「もしものことが起こった時はどうする」という殺し文句に勝てない。皆がやっていることだからと、事なかれ主義の対応が日本列島各地で展開されている。
「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭を護(まも)ってください」と政府は呼びかける。異様ではないか。大気圏の上を通り越したあとになって避難訓練さながらに、手順通りに演じて見せる従順さ。警報が発せられたのは12道県618市町村。本当にこれほどの広域が武力攻撃の危険に晒(さら)されていたのか。
北朝鮮は、これからも太平洋に向けて試射を繰り返すという。そのたびにJアラートが鳴り、右往左往すればいいのか。警報は「北朝鮮はコワい国」という思いを、日常生活を通じて人々の刷り込む狙いかもしれない。
◆「イージス・アショア」導入に向けた口実
政権に向かう憤懣(ふんまん)を外敵に向ける、という手法は古今東西の為政者が好む手段である。
Jアラートの次は、ミサイル防衛の強化だろう。差し迫った脅威に「物陰に身を隠すだけでいいのか」という声が上がる。飛んで来ても大丈夫な体制をとるのが政府の責任だと。
小野寺五典防衛大臣は「万全を期す」と、陸上配備型の米国製迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入に向け予算措置を取るという。
イージス艦に搭載されているシステムを陸地に持ってくるようなもので、1基800億円という。それを複数基備えるらしい。オスプレイもそうだったが、兵器は機材の他にメンテナンスや部品を含めると倍の値段になることが多い。数千億円の買い物になるが「北朝鮮の脅威に備える」と言えば、通りやすい。
小野寺防衛相は就任直後、ワシントンで行われた日米外務防衛相会合(2+2会合)で米側に対し「イージス・アショアの購入」を表明している。
導入すれば万全か、といえばこれまた怪しい。2基あれば日本をカバーできる、とされているが、一度に何発も飛んでくれば落とせない。演習ならともかく、戦争になったらどこまで役に立つか分からない、というのがこの手に兵器である。
グアムが狙われた「火星12号」でミサイル問題が騒然となったが、それはアメリカが射程に入ったからだ。日本は1998年のテポドン発射から、北朝鮮の射程に入っている。今さらの話ではない。
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