19/06/19 21:49:51.27 EyacbVkl.net
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ころであり,本件番組の視聴者の中には,弁護士懲戒制度については第1審被告の発言を聞くまでは承知していなかったが,本件弁護団の活
動を問題視して第1審原告らに対する懲戒請求が相当であると自ら主体的に判断した者や第1審被告の発言に共感した上で懲戒請求を行うこ
とを決めた者が多数あったと考えるのが自然であろう。あたかも本件懲戒請求者の全てが第1審被告の呼び掛け行為によって懲戒請求につい
て「誤認」させられ,全く主体的な判断をすることなくして本件懲戒請求を行ったとするような見方は,一般の国民である本件懲戒請求者の
主体的な判断をあまりに軽視するものであり,何人にも懲戒請求が認められていることを基盤とする弁護士懲戒制度に対する国民の信頼を損
なう結果につながりかねないといわざるを得ない。国家機関の関与を排除した自治的な制度としての弁護士懲戒制度が,公正かつ適正に運用
されることを担保して国民からの信頼性を維持して行くためには,懲戒請求を広く一般の「何人」にも認めた弁護士法58条1項の趣旨が改
めて銘記されることが必要であると考える。裁判官須藤正彦の補足意見は,次のとおりである。私は法廷意見に賛成するものであるが,以下
の点を補足しておきたい。1本件発言の全体は,表現行為として,表現の自由の範ちゅうにある。
表現の自由は,憲法上の権利であり,かつ,民主主義社会の基盤をなす価値である。元来,個々の刑事事件についての弁護人の弁護活動の当
否に関しては,いかなる人がいかように批判しようとも基本的に自由である。第1審被告の表現行為についても,不法行為責任を生じさせて
表現の自由を制限するようなことに対しては極力慎重でなければならない。このような視点に立つと,名誉毀損としての違法性が否定