◆◇【広域】 鹿児島県鹿児島市スレ29◇◆at GEO
◆◇【広域】 鹿児島県鹿児島市スレ29◇◆ - 暇つぶし2ch171:鹿児島の誇る文化 朝読み 夕読み
21/03/07 08:31:47.56 SuFJT0fQM.net
これも今は昔、田舎の児の比叡の山へ登りたりけるが、
桜のめでたく咲きたるけるに、風のはげしく吹きけるを見て、
この児さめざめと泣きけるを見て、僧のやはら寄りて、
「などかうは泣かせ給ふぞ。
この花の散るを惜しう覚えさせ給ふか。
桜ははかなきものにて、かく程なくうつろひ候ふなり。
されどもさのみぞ候ふ」と慰めければ、
「桜の散らんはあながちにいかがせん、苦しからず。
我が父の作りたる麦の花の散りて実の入らざらん思ふがわびしき」といひて、
さくりあげて、よよと泣きければ、うたてしやな。
これも今は昔、源大納言定房といひける人のもとに、
小藤太といふ侍ありけり。
やがて女房にあひ具してぞありける。
むすめも女房にてつかはれけり。
この小藤太は殿の沙汰をしければ、三とほり四とほりに居広げてぞありける。
この女の女房になまりやうけしの通いけるありけり。
宵に忍びて局へ入りにけり。暁より雨降りて、え帰らで臥したりけり。
この女の女房は上へのぼりにけり。
この聟の君、屏風を立てまはして寝たりける。
春雨いつとなく降りて、帰るべきやうもなく臥したりけるに、
この舅の小藤太、「この聟の君つれづれにておはすらん」とて、
肴折敷に据ゑて持ちて、今片手に提に酒を入れて、
「縁より入らんは人見つべし」と思ひて、奥のかたよりさりげなくて持て行くに、
この聟の君は衣を引き被きてのけざまに臥したりけり。
「この女房のとく下りよかし」と、つれづれに思ひて臥したりける程に、
奥の方より遣戸をあけければ、「疑ひなくこの女房の上より下るるぞ」と思ひて、
衣をば顔に被きながら、あの物をかき出して腹をそらして、
けしけしと起きければ、小藤太おびえてなけされかへりけるほどに、
肴もうち散らし、酒もさながらうちこぼして、大ひさげをささげて、
のけざまに臥して倒れたり。
頭を荒う打ちて眩れ入りて臥せりけりとか。


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