12/06/17 23:16:54.44
>>508
>行為の危険を客観的に判断するとは具体的にどのような事なのかわかりません
危険の現実化説と称される立場は、おそらく行為時に存したすべての事情を基礎として
実行行為の危険性の有無を判断していると思います。この限りでは客観的相当因果関係説と
同じではないかと常々考えております。相違点は行為後の特殊事情が介在した場合の判断方法です。
これまでに挙げた文献の他には、平成15年最高裁判所判例解説(最判H15.7.16:暴行とその被害者が
現場からの逃走中に遭遇した交通事故による死亡との間に因果関係があるとされた事例:山口雅高調査官)
事例研究刑事法Ⅰ(問題1:居眠りが招いた悲劇:佐久間佳枝検事)などが危険の現実化説を解説してます。
>>509
行為後の異常な事情について予見可能性がない場合であっても実行行為の危険性が具体的な結果に現実化したと
評価できるときには、因果関係を肯定する、という点において、相当因果関係説と結論を異にするため、
危険の現実化説の実益を認めることができると言われているのではないでしょうか。むろん、相当性の中身、
予見可能性の中身の解し方如何による立場の相違はありえます。
>>510
現職の検事に対して何かしらの意見をする立場ではないことは十分に承知しております。
ただ、おそらく旧試の頃よりも相当因果関係説の理解や当てはめが良くできない学生が多くなっている
のではないか、という印象を持っております。にも関わらず近時の判例をよりよく説明できると
称して危険の現実化説を答案に書く学生が非常に多いです。当方もこれまでに挙げた文献等を読んで
危険の現実化説(受験時代には判例=条件説+中断論と単純に理解しておりました)を理解したところです。
ドイツ刑法の学説につき、ご教示ありがとうございます。