12/05/22 21:31:25.57
じゃあ、はじめは、不真正不作為犯から、本問でBは、夜間、厳寒な日にいったん先の自動車事故で道端に倒れていたCを自己の乗用車に乗せたものの、途中でCから暴言をはかれ
、殺意をもって、Cを再び道端に引き摺り下ろして放置して逃げ去り早朝までに凍死させた行為について殺人罪(199条)の成否を検討する。
まず、Bの放置行為は、殺人罪の条文上「殺」すという本来作為を予定している行為を、不作為によって実現するものに他ならない。
このような不作為にも、本来作為が予定されている構成要件の実行行為性が認められるのか問題となる。
思うにそもそも実行行為とは、犯罪の結果発生の現実的危険性をもった行為であるところ、不作為でもこのような危険性を生じさせることは可能であるし、不作為だから
といって、一切不可罰だとすれば、法益侵害の点で妥当とは言い難い。
もっとも、不作為という性質上、広範囲であり無限定になり、罪刑法定主義や構成要件の自由保障機能を害するおそれも否定できない。
そこで、不真正不作為犯の不作為は、本来その構成要件上、予定されている作為と同視できると同程度の不作為、具体的には、1,ある場合にある特定の行為をする義務の存在が
行為者に認められる場合であり、2、その行為をすることが、行為者にとって、可能かつ容易であり、3、さらにその不作為が作為として予定される構成要件の作為と同価値性を有すると認められる場合に限り、
その不作為の実行行為性が認められるものと解する。
本問では、(以下省略)