12/08/16 02:12:54.47 igzTYQEI
皆を促して、地上に繋がるエレベーターに乗せる。
渋々とほぼ全員が箱の中に入る。
「さて、と」
気合を入れ直して、最後の一人の方に歩く。
アタシは一呼吸して、そいつに告げる。
「いつまでそこにいるの?さっさと行くわよ」
「放っておいてくれ…」
それだけ返して、日向は立ち尽くす。
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ」
アタシは諦めずに日向の腕を掴んで、無理に引っ張ろうと、
「放っておいてくれって言ってるだろッ!!」
そう叫んだ日向の表情は、怖かった。
憂いと憎しみ、悲しみの混ざり合った顔。
ビクリと体が震えて、思わず手を放した。
「……ご、めん」
結局、強がりの仮面は剥がれてしまった。
限界はあっさりと来てしまった。
アタシはここまでの人間だった。
「………」
アタシの声を無視して、日向はスタスタと箱に行く。
無言で、アタシもそれに付いていく。
全員が乗った時点でエレベーターは動き出す。
希望を求めた裁判で残ったのは、絶望の残り香だけだった。