12/01/24 23:31:54.18 0
私が中学卒業の記念に田舎の祖父の家に一人で泊まりに行った時の話です。
祖父は群馬の山奥にある町から離れた山小屋に近い家に住んでいました。
最寄の町から荷物を担いで一時間。まだ若かったとはいえ、山道など歩き慣れない15の頃の私には大変な道のりでした。
祖父は私の訪問と中学卒業を喜び、腕によりをかけた豪勢な山の幸で夕飯を振る舞ってくれました。
今でこそ価値と旨味のわかる普段食べられない新鮮な食材は、肉中心の脂っ気の多い濃い目の味で育っていた当時の舌に合わなかった。
山道を歩き疲れた私の胃袋には入っていかず、唯一美味しく感じた深底な丼いっぱい入った長芋の擦りおろしで流し込むように米だけを食べた。
山のようにご馳走を残し箸を置いた私を見て、祖父はひどく寂しそうな顔をしたのを覚えている。
客間には既に布団が敷かれ、いつでも眠れるようになっていた。
クタクタだった私は滑り込むように布団に入った。
その様を見ていた祖父は
「夜中にお腹すくだろうから、ご飯そのまま残しとくぞ」
と告げ、自分も寝室に入って行った。