ポケモンカードSSat POKE
ポケモンカードSS - 暇つぶし2ch100:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/03 23:26:23.96 C2uvk3C3O
>>99

×「くそ、僕にかかせやがって!」

○「くそ、僕に恥かかせやがって!」


脛木が論文の課題に不満を述べる訳ではありません!!

101:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/03 23:56:38.43 C2uvk3C3O
 苦し紛れにそう見せているだけかもしれないが、妙にひっかかる。

「ベンチのロゼリアを進化!」

 ロゼリアの上にロズレイド90/90が重ねられると、周りが再びざわつき始めた。

 「俺もあれにやられた!」とキムタクにそっくりの野次馬がわめく。

「ベンチのポケモンが進化したぐらいで何でみんな騒ぐんだ」

 不可解な周りの反応に、ヨモギはクビを傾げた。

「理由はこれさ。超エネルギーをつけて、ロズレイドのエナジーシグナルを発動!」

ポケパワー エナジーシグナル
自分の番に、手札の[草]または[超]エネルギーをこのポケモンに1枚つけるたび、1回使える。 相手のバトルポケモンを、[草]をつけたならこんらんに、[超]をつけたならどくにする。 このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。

「これで君のウルガモスは毒状態だ」

 ウルガモスに毒マーカーを載せ、脛木はニタリと笑う。

 毒にかかったポケモンは番と番の間のポケモンチェックごとに10ダメージ受ける。

 ベンチに戻して治さなければ蓄積して大きなダメージとなるのは言うまでもない。

「少しずつ攻めてくるってわけか」

「いや、一気に行くよ。『ヘビーボール』だ」

102:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/04 20:50:06.48 7gHo4aoFO
 逃げるに要するコストが3の「ホイーガ90/90」が脛木の手に加えられた。

「そしてバトル場のフシデをこのホイーガに進化させる!」

 地を這う小さなフシデが、重量感あふれるマユムカデポケモンへと変貌する。

「なかなか倒しがいありそうなポケモンだな」

 ヨモギがホイーガの姿を見ながら呟く。

「その余裕に満ちた顔が一気に凍りつくよ、『エネルギーつけかえ』で超エネルギーをロズレイドからホイーガにつけかえる」

 エネルギーの移動でホイーガはこのターンから攻撃可能になった。

 しかしウルガモスの残り体力は90ある。一進化の、一エネルギーの攻撃程度は一撃程度耐えることができるだろう。

「プラスパワーを使用し、ホイーガのワザ、ベノムショック! この攻撃は相手ポケモンが毒を受けている場合、威力が70となる」

「なんだと!」

超 ベノムショック 10+
相手のバトルポケモンがどくなら、60ダメージを追加。

 ウルガモスは残り体力10で踏みとどまるが、ポケモンチェックの毒ダメージで気絶してしまう。

「なんつうパワーだよ」

 ポカブをバトル場に出し、ヨモギが声を漏らす。


103:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/05 00:04:52.04 cvAIcmbRO
「ホイーガの力に恐怖したろう?」

 脛木が顔を接近させて囁いた。

「ああ……。怖いぐらい面白くなってきやがる!」

 力強くドローされるカード。

 その絵柄を確認すると、ヨモギは笑んだ。

「オレは『ふしぎなアメ』を使用!」

 使用カードが宣言されると同時に周りに緊張が走った。

 まさしく強力なポケモンが呼び出される予兆にふさわしい。

「ちっ……ここでアメだと」

 脛木が息をのむ。

「相棒を紹介するぜ、ポカブをエンブオーに跳躍進化!」

 ヨモギのフェイバリットカードがポカブの上に重ねられた。

 ギャラリーから声があがる。

 ―同時に、ある人物の鋭い視線がヨモギを捉えていた。



第5話 終わり

104:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/05 00:32:55.29 cvAIcmbRO
◆今日の最強カードはこれだ!

ウルガモス HP:110 炎 一進化

炎 ほのおのまい 30
自分のトラッシュから基本エネルギーを1枚選び、自分のポケモンにつける。

炎無無 ねっぷう 60
相手のバトルポケモンをやけどにする。


弱点:水×2 抵抗:- 逃げる:無

105:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/05 00:35:08.86 cvAIcmbRO
>>94さん キツネににた男は親の脛をかじるのが定説です!

106:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/05 17:23:12.90 cvAIcmbRO
第6話投下です!!

107:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/05 21:14:24.82 cvAIcmbRO
 ふしぎなアメでエンブオーが繰り出されたことにより、脛木のホイーガには十分対応できるようになった。

 しかし、一番厄介なのはベンチに控えるロズレイド。

 エナジーシグナルによって状況を逆転される可能性もままある。

「エンブオーにダブル無色エネをつけて、『アララギ博士』を使うぜ」

 ヨモギは残りの手札をトラッシュにおき、カードを7枚引いた。

「よっしゃ、そして今引いた『ポケモンキャッチャー』を使用!」

「なにっ」

 ホイーガと入れ替えにロズレイドがバトル場に引っ張ってこられる。

 脛木が歯ぎしりをした。

「さらにエンブオーの特性れっからんぶで、手札の炎エネを2枚エンブオーにつける!」

特性 れっからんぶ
自分の手札からエネルギーを1枚選び、自分のポケモンにつける。この特性は、自分の番に何回でも使える。

「ヒートスタンプでロズレイドに攻撃!」

炎炎無無 ヒートスタンプ 80

 弱点により威力160となったヒートスタンプにロズレイドは一撃で気絶させられた。

 ヨモギは2枚目のサイドカードを取り、勝利に王手をかける。

108:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/05 23:59:33.92 cvAIcmbRO
「あの脛木を後少しまでおいつめたぞ」

 ギャラリーのささやく声。

 気づけば店中のポケカプレイヤーが対戦を見物していた。

「エンブオーの体力は150。打点80でダメージはまだ無し……か」

 雪村の呟きを聞いてシシトウは、

「でもホイーガにはまだ一進化残ってる。まだまだ安心はできないね」

「そうだな。でも田村のデッキはカード同士の繋がりが高い爆発力を生んでる。残り一体だけを強化するやり方じゃ、脛木に勝ちの目はないさ」

 脛木は荒い息をしながら、カードを引く。

 すでに細い目は大きく開いていた。

「僕をここまで追い込むとはな。だが、ホイーガを残したことに後悔するがいい」

 「進化!」と叫び、脛木がホイーガの上にカードを重ねる。

「これが僕の切り札、ペンドラーだ」

「またデカいのが出てきやがったな」

 ヨモギの言葉通り、ホイーガがさらに巨大化したような特大サイズのムカデポケモン。

 体力はエンブオーと同じ150。コストが重く、耐久とパワーが高い。典型的重戦車タイプのポケモンだ。

109:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/06 20:18:38.99 5eYdIcsXO
「ダブル無色エネルギーを張って攻撃、ハードローラー!」

無無無 ハードローラー 60

 エンブオーの体力は90/150まで減らされる。

 が、そこまで大きな損傷ではない。もう一度、ハードローラーを耐えることができるだろう。

「まだまだエンブオーは倒れないぜ」

「だけどペンドラーには強力な4エネルギー技『どくのツメ』がある。エンブオーは次の番で終わりだ」

「いや、お前に次の番は来ねえ!」

 ヨモギはカードを引くとニヤリと笑った。

「エンブオーを逃がしてダルマッカをバトル場に出す」

「にがすだと」

 進化ポケモンのエネルギーを犠牲にして無進化ポケモンを場を入れ替える。脛木も納得できないと目をパチクリさせた。

「ダルマッカをヒヒダルマに進化させる!」

 現れたのはエンブオーと共にヨモギのアタッカーとして貢献するヒヒダルマ。
しかし今日はいつもとポーズが違う。

 そして何より……。

110:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/06 21:21:02.00 5eYdIcsXO
「超タイプのヒヒダルマだと!?」

 超タイプカードを示す紫のカード色を見て、脛木がおののいた。

 ダルマモードとなり、超タイプへ移り変わったヒヒダルマならばペンドラーの弱点をつくことができるはずだ。

 ―この一撃でトドメをさす。

「『デント』でデッキから炎エネルギーをサーチし、れっからんぶで全てヒヒダルマに装着!」

 山札から引き抜かれた3枚が加えられ、ヒヒダルマには合計5枚の炎エネルギーがとりけられた。

「ヒヒダルマの攻撃! ヒヒダルMAX!」

無無 ヒヒダルMAX 50×
このポケモンについているエネルギーの数ぶんコインを投げ、オモテの数×50ダメージ。

「オモテが二回以上出れば勝ちだ!」

 ヨモギはダメカンケースからコイン4枚を取り出し、先ほど使ったものと合わせて計5枚のコインを上空へ放り投げた。

「くそう……」

 脛木とギャラリーも見守る中、5枚のコインがそれぞれ、ほぼ同時にプレイマット上に着地する。

 オモテのコインは……3枚。

111:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/08 23:19:15.04 PNyFe4oHO
「50かける3で150ダメージ。さらに弱点で二倍になって300ダメージだぜ!」

 ペンドラーの上に六個赤いダメカンを置いて、ヨモギが最後のサイドカードをとる。

「よっしゃあ、勝ちだ!」

 ガッツポーズをかかげてヨモギが声を張あげた。

 一気に周りが騒ぎ始める中、脛木がうなだれて呻く。

「き……き……負け……き」

 眉毛を八の字にし細い目を見開いて、今にも金切り声をあげそうだ。

「どうだ、これがオレの実力だ」

 ヨモギが人差し指指を突きつけはしゃぐと、脛木がさらに声を大きくする。

「田村。見応えある勝負だったぜ」

 と、呻き声などお構いなしに雪村がヨモギに声をかける。

「おう、サンキュー」

「これだけ大勢の前でうち負かされちゃ、脛木も当分は大人しくなるさ」

 雪村が目を向けると、脛木は顔をこわばらせた。

 かき集めたデッキを手にしてヨロヨロと店を出て行く。

112:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/12 21:07:14.25 Fb8D/yzVO
「へへん。オレにビビって逃げやがったな」

 力を失ったような脛木を見届けて、ヨモギが調子づく。

「本当にそうかなあ?」

 脛木の行動にスッキリしない様子のシシトウが呟く。

「さてと。そんじゃあ、続けて勝負するかな」

「話聞いてよ……」

 しかしシシトウの話を遮るように、「次は俺が行く」とギャラリーからキムタクそっくりの少年がデッキ片手に現れた。

「よーし、来い。どんどん来い!」

 ヨモギがデッキを素早く切り、目の前に置いた。


            ※


「僕が負けるなんて……、くそっ」

 店から何分か歩いた先の公園で、脛木はベンチに腰掛ける。

113:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/12 22:27:18.10 Fb8D/yzVO
 アゲインスターズの名をかかげ、どこの馬の骨かも知らぬ少年に敗北。

 さらに不運にもあの店のギャラリーの中には「奴」の姿があった。

 他のメンバーにこの話が伝わり、自分は何らかの処罰がされるだろう。

 特にあの男に知られたら……。

「奇遇だな。脛木」

 ふいに声が聞こえ、振り向く。

 その主は今もっとも会いたくなかった人物だった。

「……の、能条さん」

 鋭い眼光。白いTシャツからのぞかせる筋肉質の両腕。

 そして2メートル近い背。

 アゲインスターズでもっとも気性の荒い男、能条原光。

「こんなところで何をやってる」

「いや、少々、色々と」

「色々……か」

114:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/12 22:51:18.00 Fb8D/yzVO
 能条が一瞬、薄く笑う。

 ―次の瞬間、腰に焼けるような激痛が走った。

 木が砕ける音とともに視界が宙を舞う。

 ドスンと頭が揺れ、気づくと自分は地面の上で倒れていた。

「ざけんじゃねえ、クズが!」

 能条は吠えながら、真っ二つに割れたベンチの片方を鋭い蹴りでコナゴナにする。

「てめぇがアゲインスターズの名を使って、そこらの店で騒いでいたことは知ってんだよ」

「も、申し訳あり、ませ」

 脛木はかすれた声で、力なく返事をした。

「価値がありそうなカードは奪えたんだろうな」

「それが、作業に入る前に、対戦で負けてしまいまし、て」

「負けただと?」

 能条が驚いたような声を漏らす。

 頭を蹴られるか、踏みつけられるか。

 脛木は自分の仕打ちへの恐怖に震えた。

115:名無しさん、君に決めた!
11/11/13 16:25:25.51 Xf98ARVSO
和孝兄ちゃん無敵無双伝説バシャーモはどうなったの?

116:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/13 18:04:48.42 khaC2WLkO
「その相手はどんな奴だ」

 しかし降りかかってきたのは足ではなく、問いかけだった。

「え、あ、子供でした。まだ小学生ぐらいの」

「子供……!?」

 能条が目を見開いく。

 とっさに脛木は顔を伏せ固まった。

「その小僧。まさかヨモギとかいう名前じゃないだろうな?」

 蹴りはこず再び問いかけられ、脛木が
顔を上げる。

「え、はい。そうでした」

「……そうか」

 能条は続けて「そうか」と繰り返し、クックックと鳩のように笑いはじめた。

「よくやったぞ、脛木」

「は、ありがとうございます」

 理由はよくわからないが、機嫌をとれたようだ。

 助かった。―ガンガン痛む全身を奮い起こして立ち上がろうとする。


117:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/13 21:35:29.87 khaC2WLkO
 バキョンッ!

 すると頭上に何か重たいものが落ちた。

 地に顔面が激突し視界が真っ暗になる

(あれ?)

 結局、その正体がわからぬまま脛木の意識は耐えた。


             ※


「んー、今日はたくさんバトったな」

「みんなヨモギにばっか挑んでたよね」

 帰り道。背伸びしながら満足そうな笑みを浮かべるヨモギに、シシトウは口をとがらす。

 あの後、次から次へとヨモギに挑戦者が現れ、相手をしているとあっという間に夕暮れ時になってしまった。

 シシトウも店内のプレイヤーと何回か対戦したものの、実力のある相手はヨモギに戦いを挑んでいたようで、あまり手応えのある勝負はできなかった。

「しかし、十何人相手に連勝するとはおみそれいったな」

 歩道の信号を待つ途中、雪村が関心したような呆れたような感じでヨモギに言う。

118:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/13 22:37:47.41 khaC2WLkO
「今日は運が良かっただけだよ。ヨモギって結構ボクに負けてるしね」

「なんでお前が謙遜すんだよ」

 と、ヨモギがシシトウの頭をたたく。

 その滑稽の掛け合いを見てか、雪村が笑った。

「お前らはずいぶん仲がいいな」

「まあシシトウはずっと昔からの付き合いで、一番最初のポケカ仲間だからな」

「うん。まあ、そうだね」

 ヨモギとポケモンカードゲームをはじめた頃のことは、よく覚えている。

 あのころ近くに住んでいた青年が自分たちにポケモンカードゲームを教え、毎日のように対戦してくれたこと。

 大会初勝利のデッキが草タイプ中心で、今でも草タイプを使い続けていること。

(ヨモギのデッキが炎カード中心なのはボクに勝つためなのが初まりなんだよね)

 過去のことを思い出し、シシトウが小さく笑う。

 気づくと信号は青になっており、三人は横断歩道を渡りはじめた。




119:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/14 22:23:16.73 VvcxHDQJO
「それじゃ、僕はこっちだから」

 信号を越えると、右脇の道を指して雪村が言う。

「おう。次こそは勝負やろうぜ!」

 ヨモギが懲りずに対戦の催促をし、雪村が「持っていればな」と苦笑いする。

「あと、聞き忘れるところだった」

 と雪村は続けて、

「お前らはEXカードって知ってるか」

「いえっくすカード?」

 よく意味が分からないようにヨモギが首をかしげる。

 確かに聞いたことのない言葉だ。印刷ミスだとか、何か特別な状態のカードの俗称だろうか。

「ごめん。知らないよ」

「んー、そうか」

 シシトウが首を横に振ると、悲しそうに、または失望したように雪村が眉をしかめた。

120:名無しさん、君に決めた!
11/11/15 00:07:53.55 0
まってたぜwwwwwwww乙wwwwwwwwwwwwwwwwwww

121:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/18 20:22:02.33 YLE5i0cjO
「それってどういうのなの?」

「ちょっとしたレアカードだけど……まあ、大したもんじゃないから気にするな」

 「またな」と小さく手をあげ、雪村は自分に帰路に入っていく。

 二人は歩きながら、その姿を見送った。

「さてと」

 雪村の姿が見えなくなると、シシトウが神妙な顔でヨモギを見る。

「ん。どしたシシトウ」

 キョトンとしてシシトウを見返すヨモギ。

「ちょっと気にかかることがあるんだ」

「なんだよ。怖い顔して」

 先ほど、店内でアゲインスターズの話を聞いてから気にかかっていたこと。

 他の人物がいなくなり、ヨモギに話せる機会がやってきた。


122:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/18 20:58:10.77 YLE5i0cjO
「ヨモギはアゲインスターズって連中を知ってる?」

「ああ、スターズどうとか脛木が言ってたな」

 シシトウが歩きがてら、先ほど雪村から聞いたアゲインスターズについてのことを話す。

 ヨモギは特に驚いた様子もなく、

「脛木って案外あくどい野郎だったんだな」

 と、頷いた。

「実はこの前出会った能条もこのメンバーだと思うんだ」

「能条が?」

 カードを賭けた戦いに凶暴な性格。そして高いPCGの実力と、能条はアゲインスターズの特徴に当てはまっている。

「ヨモギはそんなトンでも奴らを2人も倒したんだ。そろそろ目をつけられてもおかしくないよ」

「目をつけられる? こっちからつけてくれて頼みたいぐらいさ」

 ヨモギが楽しげに笑みながら、指を鳴らす。

「強い奴らが戦いを挑んでくるなら大歓迎だぜ」

「……まあ。ヨモギに心配するだけ無駄って感じてたけど」

 シシトウはため息をついた。

123:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/18 21:48:58.17 YLE5i0cjO
 何事にも恐れず楽しんでぶつかっていくヨモギの性分。

 どんな苦難にも立ち向かっていける活力があるが、ときに自分からトラブルに飛び込んでしまうこともある。

 友の最も尊敬できる点と同時に困った部分だ。

「んなことわざわざ気にかけてたら寿命減るだろ。堂々と構えてようぜ」

「それがいいかもね」

 確かに敵は来るときは来るものだ。いつくるかと脅えていては仕方がない。

 しかし、何かがまだ頭の中で引っかかっている。

 ……そう。

 脛木とヨモギとの対戦中、雪村が見せた「あの目」だ。

 ヨモギがエンブオーを出したとき、雪村の温厚な目つきが一瞬だけとても冷たく鋭いようになった気がした。

 あれは見間違いだったのだろうか?

 あの一瞬はいまだに頭を離れない。

 シシトウが空を見上げると、夕空を背景に紅葉が散っていったのが見えた。


第6話 終わり

124:名無しさん、君に決めた!
11/11/18 21:51:23.15 0
長くなりましたがこのSSはこれで終わりです。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいました!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです(正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じています。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸れたのか、それは人それぞれだと思います。
少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちになってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にありがとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお願いします!ではこれにて。
皆さんお疲れ様でした!

125:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/18 21:57:05.03 YLE5i0cjO
◆今日の最強カードはこれだ!

ヒヒダルマ HP:110 超 ダルマッカから進化

超 シンクロドロー
自分の手札をすべて山札にもどし、山札を切る。 その後、相手の手札の枚数ぶん、自分の山札を引く。

無無 ヒヒダルMAX
このポケモンについているエネルギーの数ぶんコインを投げ、オモテの数×50ダメージ。

弱点:超×2 抵抗:- 逃げる:無無無

126:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/18 22:02:22.81 YLE5i0cjO
たくさんの支援に感謝です!

>>115さん 機会があれば完結編まで含めたリメイク版を書くつもりです!

>>120さん 大変長らくお待たせしました!!

>>124さん 長い間お疲れ様でした!! 私の執筆するポケモンカードゲームSSはこれからも続くので応援よろしこ!!


127:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/19 14:18:44.13 KhpSR6wHO
波乱の第7話投下です!

128:名無しさん、君に決めた!
11/11/20 17:21:23.42 NprlMx2t0
波乱の第7話完!

129:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/22 20:52:16.55 Mrf5971WO
「ここ。だよな?」

 目の前の建造物を見ながらヨモギは不安げに言った。

 その小さなビルは何年も使われていないようで、側面にはツタが生えており、曇り空も相まって不気味な雰囲気を醸し出していた。

 横につけられた『羽堂ビル』の看板には焦茶色の錆がついている。

(こんなところで本当に勝負やれんのかよ)

 太陽も沈み始めた土曜日の午後。

 一週間前に神社で戦った仮面の男キプロスの話を追い、ヨモギは港近くの羽堂ビルまできていた。

 ―大会。強敵。

 好奇心を刺激する言葉につられてやってきたが、いざついてみると本当のことか疑わしくなってくる。

 しかし自分に嘘をつく理由など見当たらない。

 やはり、一度入っみるのがいいだろうか。

 あれこれ思いめぐらしていると、不意に足音が聞こえた。

 気づけばすぐ近くで、ビルを見上げて何やら声をもらす男の姿があった。

「ごっつボロいとこやなあ」

 ボサボサな茶髪をかきながらおかしな喋り方で呟く。

130:ブレッキー ◆lZIHLGp9N2
11/11/22 21:53:26.96 0
ヒロジ「こんな感じで弄んだのだよ。フェラフェラフェラ。」

ふじやまは甘噛みされた。

ふじやま「くっ…汚いぞヒロジ!」

レブン「みんな!目を覚まして。」

ヒロジ「フェラフェラフェラ。無我じゃよ。逝け!」

遊ばれた漢たちがおそってきた。

ふじやま「レブンちゃん!早く逃げて!」

ソウセキ「でも…」

そうこうしているうちに、松葉崩し、獅子舞、菊一文字…48手の技が放たれた。

ふじやま「レブンちゃん!危ない!」

ふじやまがレブンをかばう。と、その時!

131:ブレッキー ◆lZIHLGp9N2
11/11/22 21:53:39.97 0
0:00:00ぃん!

全てのタンパク質が飲み込まれた。

ヒロジ「だ…誰だぁ」

ソウセキ「Tバック将軍『ヒロジ』。ようやく尻に出してくれましたね。」

ヒロジ「お…お前はぁ///」

ソウセキ「ヲチスレの時報兼レオタードのソウセキだ。お前と乱舞する!」

そう、あの時報ソウセキはダンスでしごきもしているのだ。

ヒロジ「い…往け!お前達!」

ネンドール先生「見破る!…なるほど、ここがいいのか!定期略!」

むきゅきゅきゅきゅ

無数のレスがヒロジを襲った。が、その狙いは…

ソウセキ「雪国もやしだ!イっけぇ」

ヒロジ「ギャアァン(笑)w」

132:和孝 ◆Mk7zjh6zL.
11/11/22 23:11:56.91 Mrf5971WO
 目があうと茶髪の男は笑みを浮かべながら、

「おう、見ない顔やな」

 軽く手をあげてヨモギに近づいてきた。

「お前も裏ジムか」

「裏ジムって? ポケモンカードゲームの大会があるんじゃないのか」

 それを聞くと茶髪は驚いた様子で、

「裏ジム知らんでここまできたん?」

「変な奴にここで強い奴がいる大会がある聞いたんだよ」

「ってことは初参加やな。まあええわ、まずは行こうや」

 茶髪が開きっぱなしになっているビルのドアを入っていくと、ヨモギもその後を追った。

 暗い廊下を男の背を追いながら進む。

 そこそこ歩くと、エレベーターと黒服の男が見えてきた。

「ようこそおいでくださいました」

 黒服が深々と頭を下げると、「ご苦労さん」と茶髪が返す。

133:和孝 ◆Mk7zjh6zL.
11/11/27 10:39:47.74 TPVA0umBO
 チンと音がし、扉が開く。

 不信感を覚えながらも、ヨモギは男に続いてエレベーターに乗り込んだ。

「このビルに地下があったなんてなあ」

 エレベーターが下へと進む中、ヨモギが呟く。

「厳密にはこのビルの地下やないけどな」

 男は続けて、

「羽堂ビルはサイプレス社が作った地下要塞の一部にすぎねんで」

「地下要塞……」

「ワイは難波。よろしゅうな」

 エレベーターはゆっくりと減速していき、動きを止める。

「おう。ついたみたいや」

 扉が開かれると、羽堂ビルの外装とはまったく違う景色が飛び込んできた。

134:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/27 11:07:45.50 TPVA0umBO
 赤い大理石の床。白い壁紙。並べられた多くの長テーブル。

 そしてテーブルにかけられた青いプレイマットに、そこで対戦するプレイヤーたち。

 クリーンで対戦に相応しいスペースだ。

「大会参加希望のかたですね?」

 先ほどと同じような黒服を着た男が、二人の元に歩み寄る。

「おう、二人ともや」

「こちらのナンバーカードをどうぞ」

 黒服がプラスチックのカードを二枚ずつ差し出す。

 難波のカードには10、ヨモギのカードには11と文字が印刷されている。

「ワイらがおらんかったら今回は1桁かもしれんかったんやな」

 難波がナンバーカードを見ながらニヤニヤ笑う。

「なあ、さっき言ってた裏ジムってのはこの大会のことか」

 ヨモギの問いかけに「せやな」と難波がうなづく。

135:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/27 11:41:53.83 TPVA0umBO
「秘密の大会……裏のジムチャレンジ。略して裏ジムとワイは呼んどる」

「なるほどな、でも、なんでわざわざ秘密の大会なんか開かれてんだ」

「この大会の存在は一部の腕が立つポケカプレイヤーにしか知らされとらん。せやから、参加者みんな高い実力を持ったハイレベルの大会にできるってわけや」

「そういうことか……あいつの言う通り、楽しみになってきたぜ」

 キプロスの顔を思い浮かべながら、ヨモギが楽しげに笑む。

「で、大会はいつ始まるんだ?」

「多分あと一分もせんうちに始まるで。予定開始時間はちょいすぎとる」

「よし、わかった」

 ヨモギが礼の言葉をあげようとした矢先、

「皆さん!」

 と大きく低い男の声が響いた。

 声の方向を見ると、黒いスーツを着た長身の男が立っていた。

 オールバックの髪と彫りの深い顔。

 明らかに周りの黒服たちとは別種の雰囲気を放っている。

136:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/27 12:27:15.20 TPVA0umBO
「さて、始まるな」

 難波がささやいた。

「本日は我らがサイプレス社が主催するPCG大会に足を運んでいただき、有り難く存じます」

 注目する周りに長身の男は一礼する。

「あのオッサンはどういう奴なんだ?」

「サイプレス社の幹部のトベラって奴や。この地区の大会はだいたい奴が運営をまかされとる」

 二人の会話を気にとめる様子もなくトベラは、

「総勢11名の参加者が集まりました。
 前大会同様、トーナメント戦でこの中から一人優勝者が決定されます。
 皆さん、白熱した勝負をお楽しみください」

 再び頭を下げると、黒服の一人が前に出て、ホワイトボードを掲げた。

 ボードにはナンバーカードの番号とテーブルのアルファベットが記されたトーナメント表がかかれている。

「それではこの表の通りのテーブルについてください」

 トベラがそういうと、参加者一同はボードのそばに集まり、自分の対戦相手を確認する。

「オレのテーブルはD席で……」

 ボードを見ると、ヨモギのナンバー11と結ばれていたのは1番だった。

137:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/27 23:25:19.56 TPVA0umBO
「ひゃあ、お前1番と当たったんか」

「1がどうかしたのか?」

「前大会の優勝者は必ず1のナンバーカードもらうんや」

「じゃあ、すげえ強い奴ってことじゃねえか。楽しみだぜ!」

 ヨモギは指を鳴らし笑う。

「お前の実力はよう知らんが、1番の樋栄っちゅう奴はホンマに強敵や。気を入れんとイチコロにされるで」

「おう、わかった!」

 ヨモギが自分のテーブルに向かってかけだそうとすると、

「ちょい待ちない」

 と、難波が呼び止めた。

「そういや、お前の名前なんちゅうんや?」

「田村ヨモギ。覚えておけよ」

「田村……か。よっしゃ、がんばってな」

 「おう」と返し、ヨモギはテーブルまで足を運ぶ。

 D席のテーブルにつくと、向かい側には既に対戦相手と思しき少年が座っていた。

138:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/30 20:38:34.78 A27ld59wO
 齢はヨモギと同じか少し上といったところで釣った目から少々冷たい感じを受ける。

「お前が樋栄だな。オレは11の田村ヨモギ」

「……知らないな」

 樋栄が関心がないように素っ気ない返事をするとヨモギは口をとがらせ、

「まあ! 勝負でオレの実力を見てくれりゃあいいよ。見てくれりゃあな」

 樋栄が山札をカットするのを見てヨモギもベルトのケースからデッキを取り出す。

 互いに山札を切り終わるとバトル場とベンチにたねポケモンをセットした。

 ヨモギが2匹。対する樋栄が3匹。

 サイドカードを3枚セットし相手の場を凝視しながら、試合開始の宣言を待つ。

「皆さん。勝負は整いましたね?」

 トベラは返答がないことを確認し、

「それでは対戦を始めてください」

 その声とともに会場中のプレイヤーたちが場のポケモンをオープンする。

139:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/30 21:10:31.89 A27ld59wO
ヨモギ
バトル場:ダルマッカ80/80
ベンチ:メラルバ70/70

樋栄
バトル場:リオル70/70
ベンチ:ワンリキー60/60、ドッコラー60/60

(闘タイプデッキだな……!)

 基本闘タイプは体力とパワーに秀でているがエネルギーのコストが重い。早い段階から一気に攻めていくのが得策だろう。

 じゃんけんに勝利した樋栄がまず山札からカードを加える。

「闘エネルギーをリオルにつけ、さらにどうぐカード『ゴツゴツメット』を装着する」

「どうぐカードか。起動の遅さを小細工で隠そうとしてもバレバレだぜ」

「リオルのワザ、パンチだ」

 闘 パンチ 10

 先制攻撃をくらうもののダルマッカ残り体力は70。大したダメージではない。

「攻撃が軽いな、オレの番だ!」

 ヨモギは引いたカードを見て「よし」とうなづく。


140:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/30 21:30:41.13 A27ld59wO
「オレはベンチにポカブ出す!」

 ポカブ70/70。エンブオーからの速攻攻撃を狙うためにも早くからたてる必要がある。

「ダルマッカにダブル無色エネルギーを張って、ぶちかますだ!」

無無 ぶちかます 20

 ダメカンが2つの乗せられリオルの体力は50まで削られる。

 タフなリオルを倒すにはまだまだ足りないがダメージではリードしている。

「リオルにつけられたゴツゴツメットの能力。
ワザのダメージを受けたとき、その相手ポケモンに20ダメージを与える」

「何っ!?」

 攻撃をした側であるダルマッカがダメカン2つを受け残りHP50/80となる。

「ちえっ、うざったい道具だぜ」

 ヨモギの言葉を気にもせずに樋栄は山札から引く。

「サポート『アララギ博士』を使用する」

 手札を全てトラッシュに置き新たにカードを7枚手札に加えた。

「リオルを進化!」

141:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/30 21:54:28.55 A27ld59wO
 リオル50/70の上にルカリオ80/100が重ねられる。

「闘エネルギーをつけ、はどうだんでアタックだ」

闘闘 はどうだん 50
相手のベンチポケモンを1匹選び、そのポケモンにも20ダメージ。

 ダルマッカは気絶させられベンチのメラルバにも20ダメージが与えられる。樋栄は静かに一枚目のサイドカードを手札に加えた。

「いきなり1進化ポケモンか。まずいぜ」

 こちらの次のバトルポケモンはすでに20ダメージを与えられたメラルバ。

 残りHP80に加えて反射ダメージを与えるゴツゴツメットを持ったルカリオは大きな壁となる。

 ……強い。

 今まで戦った相手でも上位の腕を持っているだろう。

「確かに強え……けど勝負はこれからだぜ!」

 ヨモギは力強くドローする。

「チェレン」

「」

「」

142:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/11/30 21:57:04.86 A27ld59wO
 リオル50/70の上にルカリオ80/100が重ねられる。

「闘エネルギーをつけ、はどうだんでアタックだ」

闘闘 はどうだん 50
相手のベンチポケモンを1匹選び、そのポケモンにも20ダメージ。

 ダルマッカは気絶させられベンチのメラルバにも20ダメージが与えられる。樋栄は静かに一枚目のサイドカードを手札に加えた。

「いきなり1進化ポケモンか。まずいぜ」

 こちらの次のバトルポケモンはすでに20ダメージを与えられたメラルバ。

 残りHP80に加えて反射ダメージを与えるゴツゴツメットを持ったルカリオは大きな壁となる。

 ……強い。

 今まで戦った相手でも上位の腕を持っているだろう。

「確かに強え……けど勝負はこれからだぜ!」

 ヨモギは力強くドローする。

「チェレンを使う!」

 山札から新たに加えられた3枚のカード。

 その中に大きな手応えがある。

143:誤爆かもだと!? ◆Mk7zjh6zL.
11/11/30 22:18:53.91 A27ld59wO
「メラルバをウルガモスに進化させるぜ!」

 引き当てられた1進化ポケモン。ウルガモス90/110。このカードならば十分ルカリオの攻撃に耐えて抑え込むができるはずだ。

「ウルガモスに炎エネルギーを貼って、ほのおのまいで攻撃!」

炎 ほのおのまい 30

 ルカリオの体力は50にまで減りウルガモスの「ねっぷう」で倒させる範囲内となった。

「ゴツゴツメットの効果を使用」

「たかが20ダメージなんて痛くもなんともねえさ」

「加えてルカリオの特性ストライクバックを発動する」

特性 ストライクバック
このポケモンが、バトル場で相手のポケモンからワザのダメージを受けたとき、ワザを使ったポケモンにダメカンを2個のせる。

「2つの効果の併発によってウルガモスに40ダメージを与える」

「なに……」

 ヨモギが苦悶の表情を見せた。

 こちらが与えたダメージよりさらに多いダメージがこちらに戻ってきてしまう。

144:名無しさん、君に決めた!
11/12/01 00:49:00.87 VEeFzW1d0
実写版キャスト

オーキド…渡瀬恒彦
ジンダイ…舘ひろし
クロツグ…仲村トオル
マツバ…小塚崇彦
ミクリ…沢村一樹
マキシ…高見盛
ワタル…
シロナ…真矢みき
ヒース…IKKO



145:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/04 09:59:15.78 xYGjda80O
 ウルガモスの残り体力は50。はどうだん一撃でやられてしまう範囲内だ。

「俺の番だ」

 樋栄はベンチのドッコラー60/60をドテッコツ80/80に進化させて後続を整える。

「ルカリオのはどうだんでアタックする」

 ウルガモスは気絶してポカブに追加の20ダメージが与えられた。

 樋栄は淡々と2枚目のサイドカードをとる。

「オレの……番」

 手も足も出ないまま樋栄に押し切られた。自分が勝つ可能性はほとんどないだろう。

(いや、まだ勝負は終わってない)

 そう言い聞かせ力いっぱいにカードを引く。

「ポカブ50/70をチャオブー80/100に進化させるぜ」

 さらに続けて、

「サポート『からておう』! この番オレのポケモンのワザダメージは40加算!」

「からておう……」

 ヨモギのサポートに樋栄はわずかに意識を動かす。

146:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/04 10:14:50.04 xYGjda80O
「チャオブーにダブル無色エネルギーをつけて、ころがる攻撃!」

無無 ころがる 20

 からておうによって60ダメージとなったころがるはルカリオを仕留め、ようやくヨモギは樋栄からサイドをとる。

 しかしゴツゴツメットとストライクバックによってチャオブーは体力が40に減ってしまった。

(だけど厄介なルカリオは落ちた。次の番を耐えれば十分逆転できるぜ)

 続いて樋栄の場に現れたドテッコツはエネルギーが一つもついていない。エネルギー加速がほとんどない闘デッキなら耐えきれる。

 樋栄は何も言わずカードを引く。

「ドテッコツ80/80をローブシン140/140に進化させる」

「二進化ポケモン……だと」

「ローブシンに闘エネルギーをつけ、なしくずしでチャオブーにトドメの一撃だ」

闘 なしくずし 40
このワザのダメージは、相手のバトルポケモンにかかっている効果の計算をしない。

 チャオブーが体力を全て失い、樋栄が最後のサイドを手にした。

「ぐう……」

 ヨモギが呻き声をあげてテーブルに伏せる。

147:和孝 ◆Mk7zjh6zL.
11/12/04 11:04:06.46 xYGjda80O
 樋栄は何も言わず席をたった。ヨモギのことを気にもせずその場を去っていく。

 ……まったく手も足も出なかった。

 完全なる敗北だ。


           ※


 その後、樋栄は決勝戦で難波を下して優勝した。

 見たところ難波もかなりの実力者であったが、雷デッキでは闘デッキの樋栄には相性の面でも圧倒されてようだ。

「いやあ、樋栄が手札事故っとれば勝ちも見えてたで」

 ほとんど日が沈んだ帰り道の歩道。難波は楽しげにヨモギに語りかける。

「でもすげえな難波。雷デッキで闘デッキの樋栄といい勝負するなんてさ」

「ワイもあいつに勝とうと色々策を練っとんで。まあ雷使うってのは譲れへんけど」

「オレも負けてばっかじゃ格好がつかねえ。次こそはオレが勝ってやるぜ」

 ヨモギは拳を握りしめて笑う。

「ボコボコにされて意気消沈しとるとでも思っとったが……なかなか見所あるやないか!」

 難波が手のひらで背中をバンと叩くとヨモギは声をあげた。

148:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/04 12:25:38.56 xYGjda80O
「何にせよ樋栄を倒そう思ってるならワイと同じやな。互いに次の大会も頑張って行こうや」

「そういや、次の大会っていつだっけ?」

「ありゃ、大会終了時にトベラが言っとたやろ? 11月22日」

「丁度1ヶ月ぐらい後かあ。長いぜ」

 ヨモギは待ちきれないといいたげに口をとがらせた。

「それだけ策を練る時間もあるいうこっちゃ。気長にいこうで」

 難波は気楽そうに言う。

 確かに自分より長く大会に参加しているだろう難波は何度もその1ヶ月を待っているはずだ。それでも勝てないのだからより多くの時間を要しているだろう。

 さらに自分が強くなっている間に相手はさらに強く……。

 やはり勝つためには時間をかけるだけではダメだ。どんどん強い相手と戦い実力をあげなければ。

 ヨモギは秋空にうかぶ月を見ながら決意を新たにした。


第7話 終わり

149:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/04 12:36:21.47 xYGjda80O
◆今日の最強カードはこれだ!

ルカリオ HP:100 闘 リオルから進化

特性 ストライクバック
このポケモンが、バトル場で相手のポケモンからワザのダメージを受けたとき、ワザを使ったポケモンにダメカンを2個のせる。

闘闘 はどうだん 50
相手のベンチポケモンを1匹選び、そのポケモンにも20ダメージ。

弱点:超×2 抵抗:- 逃げる:無

150:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/04 12:56:44.98 xYGjda80O
たくさんの支援感謝
です!

>>128さん 戦いは始まったばかりです!
>>130-131さん Tバック螺旋撃です!
>>144さん タケシは草なぎ剛がいいと思います!!

151:名無しさん、君に決めた!
11/12/05 16:28:47.26 O
支援

152:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/11 10:29:07.65 aNRo0AVeO
>>151さん 支援感謝です!

最強のカード覚醒!
第8話投下です!

153:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/11 10:56:04.34 aNRo0AVeO
「……うーん。ないなあ」

 午前0時を過ぎた深夜。

 小さな電灯が光をともす中、ヨモギはカードの収納箱をあさりながらため息をつく。

 樋栄の使用するルカリオはとにかく反射ダメージが厄介。その被害を最小限にするには一撃で100以上のダメージを与えるポケモンでの攻撃が望ましい。

 ……そこまでは理解できるのだが100ダメージのワザを与えるポケモンなどそうそうない。

 いまのデッキでもっともパワーがあるヒヒダルマのあばれるでさえ90ダメージだ。

(からておう4枚投入しかないかなあ)

 しかしサポートな上に発動条件のある「からておう」を4枚投入すればデッキの回りは悪くなるだろう。

 エンブオーとのシナジーを考えてもサポートは手札増強系が優先……。

「あん。頭がとぼけるな」

 ケータイで時刻を見ると0時をすぎている。どうりで寝ぼけて頭の回転が悪い。

(明日考えればいいか)

 カード箱を枕元に置くと電灯を消しヨモギはベッドにつく。

 どうも仰向けだと落ち着かないのでベッドに顔を沈める形で寝ることにした。

154:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/11 11:23:16.71 aNRo0AVeO

          ※


 気がつけば周りは白いもやに囲まれていた。

 煙というよりは湯気に近い。心地良く温かい感触が体を包んでいる。

 なんとなく地が隆起するほうに歩いていく。しばらく坂を登るように歩き続けると大阪ドーム程の大きな穴を見つけた。

 穴の中ではマグマのような赤い液体がグツグツ煮えている。

 じっとそのグツグツを見つめる。

 そして一瞬マグマのかさが減ったかと思うと、それは轟音と共に吹き出してきた。

 辺りの景色が炎の赤一色になり、

『モエルーワ!』

 何かの生き物の鳴き声が穴の底からこだます。

 その声の主はマグマを飛び散らせ勢い良く穴から飛び出してきた。

 巨大な翼で白い全身を黒い大空へはばたかせる。

 あの白い竜は……。

 あのポケモンは……。

155:名無しさん、君に決めた!
11/12/16 08:40:58.42 0
モ w エ w ル w ー w ワ w

156:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/19 00:06:58.56 mknbfTy8O


 突如として頭がスッとした。鳥のさえずりとともに光が目に染み込んでくる。

(おかしな夢だったな)

 おかしくない夢など殆どないだろうが、印象深い夢ではあった。

 夢の中で火山から出てきた白いドラゴン……あれは間違いなく「レシラム」だ。

 昨日強力な炎カードのことを考えながら寝たためか頭の奥底でこのポケモンの姿が見えたのだろう。

 強力な炎ポケモンが……。強力な……炎カード?

「そうだ。レシラムがいたぜ」

 ベッドから飛び起きてタンスの中を探る。

 コ○○ロコミック10月号の中にそのカードは挟まっていた。

 『レシラム130』。キプロスが以前自分に渡した炎ポケモン最強クラスのカード。

 超威力のワザをもち、ルカリオを一撃で倒せる力を所有している。

「こいつだ……これでアイツに対抗できる」

 パジャマを着たままヨモギはデッキを新たに組み始めた。




157:名無しさん、君に決めた!
11/12/20 23:27:54.54 0
普通に面白いよ

158:名無しさん、君に決めた!
11/12/22 00:34:12.45 0
続きマダー

159:名無しさん、君に決めた!
11/12/23 00:38:57.88 0
支援

160:名無しさん、君に決めた!
11/12/23 02:05:12.21 0
続きプリーズ

161:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/23 22:03:56.45 f08ggMBxO
「もう、遅いよヨモギ」

 シシトウが眉をしかめると、「わりーわりー」とヨモギが軽く頭を下げた。

 先週、脛木と戦った藻倉町のカード屋。

 ヨモギは色々な実戦を積むべくシシトウと今日ここに来ることを約束していた。

「まあ来ないよりはマシじゃねーか」

 シシトウと向かい合った席から、櫂雪村は気にしたようすもなく言う。

 どうもヨモギが店につく少し前から雪村はシシトウとポケモンカードゲームで戦っていたようだ。

 サイドは互いに既に2枚。シシトウのバトルポケモンはマスキッパ、対する雪村のバトルポケモンはフリーザー……。

「へえ、お前は水カード使うのか」

 雪村の手札を見ながら楽しげにヨモギがつぶやく。

「ああ。水ポケモンの中でも麻痺や眠りの効果を持ったのが好きなんでな」

「よし、その勝負が終わったらオレと勝負な! 新デッキの初陣相手にしてやるぜ」

「新デッキ……?」

 雪村がキョトンとしてヨモギを見る。

162:名無しさん、君に決めた!
11/12/23 22:47:25.09 0
おお!来た!
楽しみにしてたよ

163:名無しさん、君に決めた!
11/12/28 23:22:50.96 0
ヒヒダルMAXでのコイン一気投げいいな
今度やってみよう

164:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
11/12/29 01:20:25.46 OnVwVW0yO
「最強クラスの炎ポケモンを投入したオレの新デッキ。今朝作ってきたんだ」

 ヨモギが黒いナップサックからデッキケースを取り出す。

「それのせいで遅れたわけだ」

 シシトウは呆れ顔でぼやいた。

 その様子に笑みを浮かべながら雪村は、

「まあ一度はお前と戦いと思ってたんだ。相手するよ」

「サンキュー! んじゃあちゃちゃっと勝負にケリつけてくれ」

「まったく、自分本位なんだから」

 毒づきながらも、シシトウは雪村との対戦を再開し始めた。


 勝負の経過を見たところ、終始シシトウが優位にたっていた。

 雪村は水タイプ中心のデッキでシシトウはそれに強い草デッキであるからタイプ相性の問題もあるが、起動が遅い雪村のデッキではどうしてもシシトウの手堅い戦術に狂わさてしまうらしい。

 状態異常やバウンス(相手のポケモンを強制的に手札に戻すこと)を得意とするシシトウのデッキは、相手のポケモンを一撃で倒せるような高威力のワザを連発して一気にケリをつけるのがベストだろう。

165:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/01/02 20:23:20.77 s8xDTx1eO
「ん……負けたな」

 雪村が苦い顔で頭を掻くとシシトウは「やった」と飛び跳ねた。

「宍戸の戦略は穴がないぜ。参った」

「お前も対戦が苦手って言うわりにはそこそこ強かったぜ」

 手でテーブルに乗りながらヨモギが言う。

「まあ、褒め言葉と受け取っておくか」

 雪村とシシトウがそれぞれカードを片付け終わると、

「じゃあヨモギの番だね」


「おう、新デッキの御披露目だ!」

 シシトウが空けた席にヨモギがドッと座る。

「それじゃあ、その新デッキを見せてもらうか」

「戦ってるうちにジワジワな」

 ヨモギはデッキケースから山札を取り出すと素早くカットを始めた。

166:名無しさん、君に決めた!
12/01/03 00:43:28.99 0
内容は凄く面白くて本当にいいと思っているのですが
やはりペースが気になります
IDが赤くなる勢いで書いてくれると嬉しいです
勿論私は支援しています

167:名無しさん、君に決めた!
12/01/08 14:27:14.86 0
ネタ切れ

168:名無しさん、君に決めた!
12/01/09 22:07:15.81 O
あげぽよ

169:名無しさん、君に決めた!
12/01/15 21:41:26.42 0
じゃあ俺がこの一話だけ書いていい?

170:名無しさん、君に決めた!
12/01/21 10:52:36.57 0
                            ,z'='ゝ、__,ィ!
               _      __,,.、/ミミミミミミヲ'__
          、___,,ィイミミミ>‐'`'‐v':::::::::`:,'´``ヽミミミミミミミニ=-_,,.ィ!
    ヽ,、____\ミミミミ>:::::<    'z::::::::;:ィ'   ,i゙ミミミミミミミヾ砂炒′
   ミッ、__\ミミミミミ`ミミ〉:::::::`:ッ.._,.ノ `ー^゙ `'ーー'ヾミミミミミミ三=戓彳ッ、
    兮兌來W=ミミミミミミミ>‐-'゙´          ヾミミミミx自慰或゙´
    ,>安為益ミミミミミミ'!            ,.,,.、,ィ i弌冦圦早ゞ''´
   ;=弌生理域圧ェェェッミ! _ゝォ;ェ、      ,姉夋Yヽ、 ̄`゙`
      `゙ヾ冬夋/変>'゙'y !::傚氿   s   ゙恩てノ  1
           /゙´   ,゙ 'つ汐′ ;一'l  `~´  ,y′
                ,-'、、      ヽ_ノ     ,ィr〈
        ,, -―==-!  `゙ーャ、___、___,,.ィ<‐'´ 丿
       /_      ヾ、_    ゙Yjor、o0゙´_/
      '"´ ``‐、-   _  `>   r' ' !、 |
           ヽ、   ! ヽ'´     ゝ゚.r'′/
             `ー-ヘ `      ゙ー'′ ヽ
                  ゙t'__         l
                  ``ー ..,,__    く
                      `ー―‐′

171:名無しさん、君に決めた!
12/01/23 00:00:31.53 O
age

172:名無しさん、君に決めた!
12/02/02 19:48:44.42 39gpu4V10 BE:2171520656-2BP(0)
アスペウスは神

173:名無しさん、君に決めた!
12/02/07 15:13:52.22 0


174:名無しさん、君に決めた!
12/02/13 13:08:10.48 0
あげ

175:名無しさん、君に決めた!
12/02/13 21:41:54.80 zRsyZcZH0
マダー?

176:名無しさん、君に決めた!
12/02/18 13:04:16.80 0
マダ

177:名無しさん、君に決めた!
12/02/25 16:31:26.67 ZUpAgufy0 BE:2339847348-2BP(0)
ポケモン板の王者「休カ無限」こと、北星学園大学経済学部経営情報学科の千葉敦將(チバタイスケ)と申します。以後よろしくお願いします。

178:名無しさん、君に決めた!
12/02/27 18:30:52.36 0
                        |  |
                        |  |    ,z'='ゝ、__,ィ!
               _      __|  |,,.、/ミミミミミミヲ'__
          、___,,ィイミミミ>‐'`'‐v'::::|  |:::::`:,'´``ヽミミミミミミミニ=-_,,.ィ!
    ヽ,、____\ミミミミ>:::::<    'z:::|  |:::::;:ィ'   ,i゙ミミミミミミミヾ砂炒′
   ミッ、__\ミミミミミ`ミミ〉:::::::`:ッ.._,.ノ `|  |ー^゙ `'ーー'ヾミミミミミミ三=戓彳ッ、
    兮兌來W=ミミミミミミミ>‐-'゙´    |  |      ヾミミミミx自慰或゙´
    ,>安為益ミミミミミミ'!       |  |    ,.,,.、,ィ i弌冦圦早ゞ''´
   ;=弌生理域圧ェェェッミ! _ゝ=;=、   |  |   ,三三Yヽ、 ̄`゙`
      `゙ヾ冬夋/変>'゙'y !::三三   |  |s   ゙三三ノ  1
           /゙´   ,゙ '三三′ ;|  |一'l  `~´  ,y′   <キャアアアアアアアアアアアアアア!!!
                ,-'、、      `|  |_ノ     ,ィr〈
        ,, -―==-!  `゙ーャ、___、_|  |__,,.ィ<‐'´ 丿
       /_      ヾ、_    ゙Yjor|  |、o0゙´_/
      '"´ ``‐、-   _  `>   r' |  |' !、 |
           ヽ、   ! ヽ'´     ゝ|  |゚.r'′/   ←>>170
             `ー-ヘ `      ゙ー|  |'′ ヽ
                  ゙t'__      |  |   l
                  ``ー ..,,__ |  |   く
                      `|  |ー―‐′
                        |  |

179:名無しさん、君に決めた!
12/03/07 01:41:34.49 0


180:名無しさん、君に決めた!
12/03/14 14:20:31.17 O
あげ

181:名無しさん、君に決めた!
12/03/21 16:15:22.48 0


182:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/24 21:47:33.48 YfrSxXgSO
 山札を切り終わると、形式どおり雪村とヨモギはカードを引いた。

(お前だけか、ちょいピンチだ)

 ヨモギは7枚の中にあった、ただ1匹のたねポケモンを、バトル場に伏せる。

 対する雪村の中が伏せたたねは2枚。このままワザの打ち合いになればやや不利だ。……いままでのデッキなら。

「準備はいいか?」

 雪村が問いかける。

「おう、どっからでもこい」ヨモギはそう返しながら、

「バトルスタートだぜ!」

 バトル場のたねポケモンを表にした。

 互いの場のポケモンが明らかになる。

183:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/24 22:10:04.90 YfrSxXgSO
田村ヨモギ
バトル場:クイタラン90/90
ベンチ:なし

櫂雪村
バトル場:ブイゼル70/70
ベンチ:コイキング30/30


「先攻はオレがもらうぜ!」

 ヨモギが勢いよくがカードを引く。

(……たねポケモンじゃないか)

 引いたカードは『ジャンクアーム』。この場では役に立たないカードだ。

 相手ポケモンはいずれもクイタランが弱点とする水タイプで、控えのポケモンがいない状況はかなり危ない。

「クイタランに炎エネを貼って、あついベロ攻撃だ!」

無 あついベロ 10

ブイゼル70/70→ブイゼル60/70

184:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/24 22:28:29.35 YfrSxXgSO
「控えにたねポケモンを出さなかったけど、大丈夫なの?」

 シシトウが少し笑いながら云う。

「オレにはオレなりの考えがあるのさ」

 デッキを構築しなすおすのにあたって、手札増強サポートを増やした。

 以前のデッキほど手札事故にハラハラする必要ない。……はずだ。

「僕の番だ、引かせてもらうぜ」

 雪村がカード引く。

「どうぐカード、学習装置をコイキングに装着だ」

 ベンチの貧弱そうなポケモンに学習装置がとりつけられる。

(と、するとあのポケモンを進化させて暴れさせるつもりだな)
 となると早めに倒したほうがいい。ふとヨモギは手札を確認する。

(反撃の算段ありだぜ)

 ヨモギが思考する間に、雪村は水エネルギーをブイゼルにつけ、チェレンで手札を増やした。

185:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/24 22:47:34.57 YfrSxXgSO
「ブイゼルのスプラッシュ!」

無 スプラッシュ 10

クイタラン90/90→クイタラン70/90

 弱点によりクイタランは通常の倍のダメージを受けるが、もとの威力が10では大した痛手にはならない。

「オレの番だ!」

 ……よし! 引いたカードを確認すると、そのままサポートゾーンにおく。

「チェレンで、カードを3枚引くぜ!」

 ここできた手札増強サポート。

 そして運よく引いた3枚の中にたねはあった。

「ベンチにポカブ70/70を出す」

「来たか」

 雪村がポカブを見て楽しそうに呟く。

「そして、ポケモンキャッチャー! 雪村のバトル場のブイゼルとベンチのコイキングを入れ替える」

「……ここでキャッチャーか!」

186:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/24 23:04:20.20 YfrSxXgSO
 ブイゼルに代わってバトル場に引きずりだされたのは、HPわずか30のコイキング。

「クイタランにダブル無色エネをつけて、ひをふく!」

炎無無 ひをふく 50

 コイキングは一撃で気絶し、ヨモギが最初のサイドカードをとる。

田村ヨモギ 残りサイド:2

「よっしゃあ、コイの丸焼きだぜ!」

 ヨモギがサイドカードを取りながら声をあげる。

「……次はラッコの丸焼きか?」

 雪村がふっと笑ってカードを引く。

「ベンチにミジュマルを出す」

 ベンチに新たな水ポケモン、ミジュマル70/70が出される。
「さらにサポート。アララギ博士だ」

 手札をまとめてトラッシュに置き、雪村はカードを7枚引いた。

187:名無しさん、君に決めた!
12/03/25 00:11:51.15 0
続きキター!!
楽しみにしてました!

188:名無しさん、君に決めた!
12/03/25 00:12:17.03 0
おおっ!
ついに続き来たのか

189:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 00:45:38.80 pP4/lvkRO
 ―そして新しい手札を見ながら笑む。

「ブイゼルをフローゼルに進化だ!」

 ブイゼル60/70→フローゼル80/90

「そいつがエースか」

 フローゼルのカードにヨモギが目を輝かせる。

「フローゼルに水エネルギーをつけ、たきのぼりだ!」

水水 たきのぼり 60

 弱点により120ダメージをうけ、クイタランは一撃ダウンする。

櫂雪村 残りサイド:2

 ベンチにただ1匹いたポカブが続いてヨモギのバトル場に放たれた。

「むぐう……水のアタッカーがこられたら、炎ポケモンには対処できないな」

 ヨモギがカードを引きながら、うなり声を上げる。

190:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 01:15:46.75 pP4/lvkRO
「絶対絶命。って奴か?」

 雪村が透き通った声で問いかける。

「いーや―? まだまだいけるな」

 ヨモギが声をにごらせて、ベンチにポケモンをおく。

 それを見た瞬間に雪村は目を見開いた。

「ヤンヤンマ……草系のポケモンか」

 ヨモギのベンチに置かれたのはヤンヤンマ70/70。ヨモギの得意とする炎タイプと対照的な草タイプのポケモンだ。

「ヨモギが炎ポケモン以外を使うなんて……なんかあったの?」

 シシトウも目を丸くしてヨモギを見た。

「オレも炎タイプだけじゃないってことさ」

 ポケモンいれかえでポカブとヤンヤンマを入れ替えると、ヨモギはダブル無色エネルギーをヤンヤンマにつけた。

「ヤンヤンマの攻撃、ふきとばし!」

無無 ふきとばし 20
相手のバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替える。 [バトル場に出すポケモンは相手が選ぶ。]

191:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 01:44:46.99 pP4/lvkRO
フローゼル80/90→フローゼル60/90

「ふきとばしの効果でバトル場のフローゼルとベンチのミジュマルを入れ替える!」

 フローゼルに代わってバトル場に引きずりだされたミジュマル60/60は、エネルギーがついていない貧弱なたねポケモン。

 ……これで流れをこちらに持って行ける。

 ヨモギはニヤリと笑った。

「ミジュマルが前にだされたか。仕方ないな」

 雪村はミジュマルに水エネルギーをつけて番を終了した。

「よし、どんどこいくぜ!」

 ヨモギが楽しげにカードを引く。

「進化しろヤンヤンマ!」

 ヤンヤンマの上にメガヤンマ100/100がぴたりと重ねられた。

192:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 02:09:06.26 pP4/lvkRO
ヤンヤンマ70/70→メガヤンマ100/100

「トンボが目を極めたみたいだな」

 雪村がメガヤンマの容姿に声をもらす。

「手札を2枚捨て、ジャンクアームを使うぜ」

「グッズ回収カード……まさか……?」

「そのまさか! トラッシュのジャンクアームを回収使用!」

 ミジュマルとフローゼルは再び入れ替わり、またフローゼルがバトル場に姿を現した。

「メガヤンマに炎エネルギーを貼って、カッターウインドだ!」

無無無 カッターウインド 70

 残り体力60のフローゼルはきぜつし、ヨモギのサイドはあと1枚となる。

田村ヨモギ 残りサイド:1

「追い詰めたぜ!」

 雪村の残すポケモンはミジュマルただ一匹。勝利は限りなく近い。

193:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 10:10:24.33 pP4/lvkRO
「さすがに、このままやられたら面白くないな」

 雪村が静かにカードを引く。

「ミジュマルをフタチマルに進化させる」

ミジュマル60/60→フタチマル80/80

 HP80。1進化にしては貧弱なステータスだ。

(ってことはあと1回進化しそうだな)

 水タイプの2進化ポケモンがこられると状況をひっくり返される可能性もある。その前に素早く倒してしまいたい。

 幸い、手札にあるプラスパワーでカッターウインドを強化すればフタチマルを一撃で倒せるが……。

「大きなマントをフタチマルにつける。持ったポケモンの最大体力20増やす道具だ」

フタチマル80/80→フタチマル100/100

「あっ、くそ」

 ヨモギが声をあげる。

 体力が増えたことにより、カッターウインドでフタチマルを一撃で倒すことはできなくなった。ころでは次の番でフィニッシュにできない。

194:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 11:01:18.73 pP4/lvkRO
 フタチマルに2枚目の水エネルギーをつけると、雪村はコインを手にとった。

「いくぞ、アクアテールを使う」

無無 アクアテール 30+
このポケモンについている水エネルギーの数ぶんコインを投げ、オモテの数×10ダメージを追加。

 放たれたコインの判定は……2枚ともウラ。

メガヤンマ100/100→メガヤンマ70/100

「よし、大したダメージじゃないぜ」

 ヨモギが拳を握ると、雪村が「いまいちだな」と額に手を当てた。

 この番でトドメはさせないが、次の番までメガヤンマが生き延びれば自分が勝利するだろう。

 だが油断は禁物。そう自分に言い聞かせながらヨモギはカードを引いた。

「よし、プラスパワーを発動して……アララギ博士だ」

 手札を全てトラッシュにおき、山札の上からカードを7枚引く。

(ん……?)

 新しく加えた7枚のうちのあるカードに目が止まった。

195:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 14:26:03.87 pP4/lvkRO
 HP130の炎タイプ。そして白い竜の絵柄。

 手札に舞い降りた最強のカード。

「オレはベンチにレシラムを出す!」

 宣言と共にベンチにレシラム130/130がおかれると、雪村が瞳孔を開いた。

「レシラム、だと?」

「こいつがオレの新しい切り札だぜ」

 ヨモギが得意げに指を鳴らす。

 「すごくレア度高そうじゃん」とシシトウもレシラムのカードに関心を示していた。

「さあ、いくぜ! ベンチのポカブをチャオブーに進化させる」

ポカブ70/70→チャオブー100/100

「そしてメガヤンマでフタチマルに攻撃! カッターウインド!」

 プラスパワーで威力を10増した風の剣がフタチマルに襲う。

フタチマル100/100→フタチマル20/100


196:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 14:53:41.62 pP4/lvkRO
 カードを引いて手札を整えると、雪村は「追い込まれたな」とつぶやいた。

「とかいって逆転の策があるんだろ」

「まあ、ないことも……ない。フタチマルを進化だ!」

 そういいながら、雪村はフタチマルの上にさらにカードを重ねた。

フタチマル20/100→ダイケンキ80/160

「水タイプの2進化ポケモンか!」

 貝殻の鎧にたくわえた長い髭。ダイケンキは、まさに武者のような雄々しい外見だった。

 雪村はダイケンキに水エネルギーをつけ、

「ハイドロポンプで攻撃!」

無無無 ハイドロポンプ 70+
このポケモンについている水エネルギーの数×10ダメージを追加。

 威力100の大技に耐えきれず、メガヤンマは力尽きる。雪村が2枚目のサイドカードをとり、互いのサイドは残り1つで並んだ。

櫂雪村 残りサイド:1

「レシラムをバトル場に出すぜ!」

 ヨモギはベンチのレシラムを空いたバトル場に移動させる。


197:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 15:24:35.27 pP4/lvkRO
「レシラムにはエネルギーが1枚もついていないが、この番でダイケンキを倒せるのか?」

 雪村が云う。

「ったりめーだ、 算段ありだぜ」

 ヨモギはカードを引くと手札を2枚手にとり、

「ハイパーボールを使う!」

ハイパーボール グッズ
このカードは、自分の手札を2枚トラッシュしなければ使えない。
自分の山札からポケモンを1枚選び、相手に見せてから、手札に加える。 そして山札を切る。

 手札2枚をトラッシュし、ヨモギは山札を手にとる。

 山札の中を探り、やがて1枚のカードをそこから抜き取った。

「こい、オレの相棒! ベンチのチャオブーをエンブオーに進化だ!」

チャオブー100/100→エンブオー150/150

「出た、ヨモギのエースカードだ」

 シシトウが声をあげる。

198:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/25 15:43:45.14 pP4/lvkRO
「サポートのデントで山札から炎エネルギーを3枚手札に加え、エンブオーの特性発動!」

特性 れっからんぶ
自分の手札からエネルギーを1枚選び、自分のポケモンにつける。 この特性は、自分の番に何回でも使える。

「手札の炎エネルギー3枚をレシラムに貼る」

「一度にエネルギーを3枚……」

 雪村が声をもらした。

「トドメだ、レシラムのあおいほのお!」

炎炎無 あおいほのお 120
このポケモンについているエネルギーを2個選び、トラッシュする。

 レシラムの口から勢いよく吐き出された青く輝く炎にダイケンキは飲みこまれ消えていった。

 最後のサイドカードをとるとヨモギは笑みをうかべながら、

「よっしゃ、最高だぜ!」

 とガッツポーズした。

199:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/29 00:39:49.02 XYOXAnVMO
「強いな、田村」

 雪村が感心したように云う。

「ヨモギでいいぜ。雪村だって結構強いじゃんか」

「それにしても、ヨモギ」

 雪村は少し目を泳がせると続けて、

「レシラムのカードを一体どこで手に入れたんだ」

「ん、レシラムか?」

 仮面の男と夜中に神社にポケモンカードバトルをした帰りにもらった。

 ……ちょっと意味がわからないかもしれない。分かりやすいように話を作り変えておくべきか。

「この前、たまたまポケモンカードバトルした相手にもらったんだ」

「もらった……?」

 美少年は神妙な顔つきで硬直する。どうもこちらの話に納得がいかないという様子だ。

200:和孝 ◆Mk7zjh6zL.
12/03/29 01:02:08.95 XYOXAnVMO
「その、レシラム、っていうのはスゴいカードなの?」

 シシトウがおずおずと聞く。

 雪村はハッとして沈黙を解き、

「ああ、レシラムはなかなかのレアカードだ。普通は相手に渡すことなんか有り得ない」

 その言葉を聞くと、ヨモギは感嘆の声を上げながらレシラムを手にとった。

「そんなにスゴいカードなのかお前は……」

 謎の仮面プレイヤー。

 そしてその男が自分に渡したレアカード。

 面白い……! その裏に潜む謎。そしてある種の運命性。

 気づけば思わず笑い声を漏らしていた。

「よっしゃあ! オレはこのレシラムと一緒に世界一のポケモンカードプレイヤーになってやるぜ!」

201:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/03/29 01:59:42.78 XYOXAnVMO
          ※

 ―サイプレス本部の一室。

「良い……」

 トベラ・ハドロンは電話帳のように分厚い作品集を見ながら呟いた。

 古典文学には、その作品の時代の人間。すなわちその作者の眼が映し出されている。

 そして作者は、その時代の、その身分の人間共通の眼。それを通して時を移動し、過去のまったく違う世界が目の前に広がる。

 過去世界への憧れは日々増すばかりだ。

 ピピッ

 その世界を押しつぶすように響く機械音。目前のパソコン画面に表示された連絡相手に目を通す。

(アゲインスターズ……)

 キーボードを操作し、連絡許可をとらせると、パソコン画面全体に少年の顔が映し出された。

『ミスター・トベラ。緊急のご連絡を申し上げます』

 少年はテレビ電話ごしに一礼し、言葉を述べる。

202:名無しさん、君に決めた!
12/03/29 02:20:00.71 0
>>203するw

203:名無しさん、君に決めた!
12/03/29 09:38:56.43 0
・ω・

204:名無しさん、君に決めた!
12/04/04 13:07:34.79 0
きも

205:名無しさん、君に決めた!
12/04/05 04:46:16.87 O
あげ

206:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/05 16:29:21.20 v3nFsHNNO
「どうぞ」

『レシラムのカードを発見しました』

「ほう」

 トベラがニヤリと笑みを浮かべる。

「すなわち、カードは持ち主から離れた。というわけですね」

『はい。所有者は田村ヨモギという少年……サイプレス主催の大会にも参加記録があります』

「なるほど」

『明日、彼からカードの確保を……』

 トベラが「必要ありません」といい、少年の言葉をさえぎる。

「しばらく泳がせておきなさい。彼がカードを手に入れた以上、何かしらの形であの男と接触したのは間違いない」

『すなわち、再び接触があると?』

「彼さえ発見できれば、最終的に2枚のドラゴンはこちらのものになる」

 トベラがその他に報告はないかと問うと、少年はクビを横にふった。

207:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/05 16:48:08.77 v3nFsHNNO
「では……。有栖川君、君の働きには期待していますよ」

『努力します』

 有栖川が再び一礼すると、ライブ映像は閉じ、デスクトップに切り替わった。

 トベラは再び作品集を開いて目を通し始める。

(そう、カードも、世界も……)




第8話 終わり

208:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/05 16:53:58.21 v3nFsHNNO
◆今日の最強カードはこれだ!

レシラム HP:130 炎 たね

無無 げきりん 20+
このポケモンにのっているダメカンの数×10ダメージを追加。

炎炎無 あおいほのお 120
このポケモンについているエネルギーを2個選び、トラッシュする。

弱点:水×2 抵抗:- 逃げる:無無

209:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/05 17:00:35.15 v3nFsHNNO
4ヶ月に及ぶ支援感謝です!!

>>155さん モエモエッシュ!
>>157さん ありがとうございます! やる気がでます!
>>158さん 今きました!
>>160さん プリーズ!(どうぞ!)
>>162さん これからも期待してください
>>163さん 決まればクール!
>>166さん これからはやくなります!
>>167さん ネタ切れの向こうに境地があります!

210:名無しさん、君に決めた!
12/04/05 17:07:35.88 g0ucEKTP0
確かにレシラム強いなwwwww

211:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/05 17:07:40.76 v3nFsHNNO
>>169さん 番外編大歓迎です!
>>170さん AAが見えずらいです(ノ△T)
>>172さん 人間は神になりえません! しかし近づくことはできるはず!
>>175-176さん オレも高みに行くよ!
>>177さん よろしこ!!
>>178さん 見えないです!
>>187 またせたな!!
>>188さん かえってきました!
>>202-203さん !(b^ー°)
>>204 私の進化は日々加速します!!

212:名無しさん、君に決めた!
12/04/05 17:34:50.17 0
1行明けるの見づらい。

213:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/06 18:56:08.34 PueO1rt1O
>>210さん だから伝説のカードなのです!
>>212さん 今回から一行空けがなくなります!


214:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/06 19:26:40.14 PueO1rt1O
 11月8日。とうとう裏ジムまで2週間となった日の昼下がり。

「うおっしゃあ、エンブオーのヒートスタンプだ!」

「おほほおぅ!」

 ワザの宣言と共に、向かいテーブルのキムタクが髪を振り乱す。

 ヨモギは最後のサイドをとり、ガッツポーズを決めた。

「またまたヨモギの勝ちだ」

 隣で勝負を見ていたシシトウが感嘆の声をあげる。

 新デッキを安定させるため、ここ最近は対戦を頻繁にするようになった。

 炎一色のプレイスタイルをやめ、超や闘抵抗のタイプもデッキに搭載されている。……すべては闘使いの樋栄に勝つため。

「2週間後がますます楽しみになってきたぜ」

 意気揚々としてシシトウにいう

「いい気になるなよ……」

 突如、敗北に打ちひしがれていたかに見えたキムタクがつぶやいた。

215:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/06 19:35:44.16 PueO1rt1O
「俺はお前の何倍も強いプレイヤーを知ってんだぞ」

 その強張った形相にヨモギは軽く笑いながら、

「へえ。どこでそいつと戦えんだよ」

「もうじき……この店にやってくる!」

 キムタクは目を大きく見開き、「俺が呼んでおいた」と付け加えた。

「そんな凄まじい顔をするほど強い相手なんて……」

 シシトウも顔を悩ませる。どんな相手か全く想像つかない。

 そう考えた直後、入店のベルがなった。

「おお、来たでキムちゃん」

 特徴のある訛りの声。

 茶髪に長身の決まった姿……。

「あ、難波じゃん」

 ヨモギが思わず声をもらす。

 以前、羽堂ビルでの裏ジムで最初に出会った関西弁風の男だ。

216:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/06 23:38:00.49 PueO1rt1O
「おっ、田村か。奇遇やな」

 難波もヨモギに気づき返答すると、キムタクは「あれっ」と声を漏らした。

「この人は?」

 シシトウが目を丸くして聞く。

「こいつ難波ってんだ。この前にあった羽堂ビルの大会で知り合ったんだぜ」

「こんな年上の人にもタメ口ってのは」

「ええて、まだワイ中学生やから」

 難波が笑顔でシシトウの説教をなだめる。

「んで、キムちゃん。自分のいうた生意気な小僧っちゅうのはどこ?」

「ああ、そいつ」

 キムタクがヨモギを指差す。

 少し間をおき、難波は驚きの声をあげた。

「田村、自分か!」

217:かずたか ◆Mk7zjh6zL.
12/04/06 23:54:41.38 PueO1rt1O
「おいおい、まさかお前のいってた強い奴って、難波なのか?」

 ヨモギの問いにキムタクがうなづく。

「難波君は群馬県内の数多くの大会で優勝する実力者なのさ」

「へえ……そりゃ面白ぇ」

 まるで自分のことかのように鼻高々と語るキムタクを尻目に、ヨモギは難波に目を向けた。

 実力者。

 勝っても負けても自分に大きな利益のある勝負になるのは間違いない。

「だったら勝負だ。難波!」

「おっ、一丁やろか」

 キムタクが譲った席にドッと座ると、難波はケースから山札を取り出した。

 ヨモギも手元の山札をとると、互いにそれを切りはじめる。

「んじゃ手加減抜きでいくで」

 「来い」と返答しがてら、ヨモギはサイドとたねポケモンをセットした。

218:名無しさん、君に決めた!
12/04/07 15:34:31.30 0
>>220するw

219:名無しさん、君に決めた!
12/04/14 18:51:51.61 0
あげ


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