11/09/23 11:49:05.91 ckQeC9EV
テンプレどうしようという話が出たので前スレからコピペ
743 名前:日曜8時の名無しさん[sage] 投稿日:2011/09/02(金) 01:47:29.68 ID:ZcurXpmw
論文読んだりしてるうちに、「王家」って言葉の受容がおもしろかったので自分なりに流れをまとめてみたんだけど、
おかしいところがあったら指摘してくれないかな。長くてごめん。そしてアホな言葉遣いしかできなくてごめん。
今からだいたい30年くらい前の中世史学会
「古代的な公家の体制を、中世的な勢力の武士が席巻したんだから、中世の政治調べるならおもに幕府に注目
してればいいよね!中世以降の公家なんて古代の律令制を引きずってるだけだから!」
的な考え方が主流を占めていて、武家以外の勢力を含めた全体的国家論の研究はほとんどなされていなかった。
そのあり方に異議を唱えたのが黒田俊雄氏(ちょっと左巻き)
当時の日本は、幕府が単独で王権を握っていたわけでなく、武家と公家が対立し二つの国に分かれていたわけ
でもない。複数の門閥勢力が内部に似たようなシステムを持ちながら複合的に絡み合って一つの国家を形成して
いたと言えるんじゃね?
律令体制と幕藩体制の間に位置するこの体制、今まで誰も研究してこなくて適当な名前がなくって困る。
「権門勢家」って言葉があるから「権門体制」と名前をつけるね!←(権門体制論の解釈ってこんなのであってる?)
ちなみに具体的な「権門勢家」って中世だと、武家と公家と寺社と、あと天皇家のこと。中でも天皇家は一勢力で
あると同時に、その権威から他勢力を調整して一つの国家の体裁にまとめる大事な役目を持っていたと思われる。
でも天皇家って言い方は当時使われていなかったから、昔使われていた言葉の中から「権門勢家」の一つの天皇の家
として適当な言葉を、過去の用例から選ばなきゃね!なんかこう特別な言葉がほしいよねー
「朝家」は朝廷とまぎらわしい。
「皇室・王室」数例あるけどレアすぎ。
「皇家」だと、古代とか摂関政治とか事情の違う年代の天皇家の体制とまぎらわしいし
皇国史観とか、祭祀を掌ってるとか、万世一系とか、とかく神聖なイメージ重ねる人が多いけど、
そういうの学問するのに邪魔(俺そーゆーの嫌いだし)。
「王家」はスタンダードとは言えないけど、これでよくね?
ほかの時代の天皇家と区別もつくし一石二鳥。「皇」という字と「王」という字はあんま区別もされてなかったし、
諡号のシステムが中断するくらい「天皇」って言葉は使われず、国王とか帝王とか主上を使ってたらしいし、もちろん「王家」の
用例だって少ないしビミョーなんだけどあることはあるし、それくらいは天皇と天皇にかかわる事象に「王」って言葉がたくさん
使われてた例をたくさん出せば納得してもらえるでしょ。(30年前なので、半島のこととかは別に頭にはない)
↓
黒田氏の思惑通り、中世の国家機構に注目した学者さんたちによってその分野の研究進む。
同時に、天皇の家族史や財産(家領)の研究をしていた人にとっても便利でな言葉だったので結構使われるようになる。
(「治天の君」が家長として天皇より権力持ってて、皇位や財産の継承ルートが複雑なうえ、女院とか門院とか
法親王とか独特な存在を内包してるややこしいおうちを、摂?家とか得宗家とかみたいに一言で表せると便利)
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30年の間に多くの学者が使って学術用語として実績ができる。同時に左巻きなニュアンスも薄れる。
↓
NHK「成り立ちはよくわかんないけど、考証の先生が通説だって言ってるからHPの関係図に使うよ!
王ってかっこいいよね!だからほかのところにも使うよ!」
↓
800年ほど昔の人ほど「皇」と「王」との違いをこまけえことは……と思えない人がキレる(←今ここ)