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本来、生活保護の対象は生活保護法で日本国民に限定されている。
しかし昭和29年、当時の厚生省が外国人の生活困窮者に同法を準用すると通知して
以降、永住や日本人配偶者など在留資格を持つ外国人にも人道的見地で支給されてきた。
近年増加傾向が目立つのが、1980年代以降に来日した「ニューカマー」と呼ばれる外国人だ。
平成22年7月現在、中国人の受給世帯は4018世帯(前年同期比664世帯増)、
ブラジル人は1455世帯(同516世帯増)に上る。
「単純労働目的で入国し、失業後に生活保護を受給する外国人が増えている。
本国に帰りたいという人は少ない」。政令市の担当者はこう打ち明けた。
フィリピン人の受給世帯は4234世帯(同835世帯増)。
日本人配偶者と結婚後に受給するケースも少なくないという。
横浜市郊外の住宅街。2階建てアパート12世帯のうち6世帯がフィリピン人世帯だ。
市内の病院で医療事務を担当する60代の女性は、ここの複数のフィリピン人女性が
保護受給者に発行される「医療券」を手に病院を訪れると証言する。医療券を病院に
提出すれば医療費は無料になる。「彼女たちは性病検査や『肌がかゆい』など緊急性
の低い症状でも受診に来る。ブランド品の財布を持っていたのは驚いた」と女性。
現在、医療扶助は保護費の半分を占める。生活保護に詳しい熊本県立大の
石橋敏郎教授(社会福祉法)は「医療券がどこでも使える通行手形になっている。
窓口負担もない医療扶助は見直しが必要」と話す。
外国人、特に全体の3分の2を占める韓国・朝鮮人の中には国民年金未加入者が少なくない。
老後は生活保護に頼ることが多く、年金未加入の外国人は今後の受給予備軍だ。
問題はさらにある。「働いて保険料を納めた人の年金額が、生活保護受給額より少ない
逆転現象が起きている」。石橋教授はこう指摘する。東京23区の場合、68歳の人の
生活保護は、住宅扶助を含め月13万4520円。だが、保険料を40年間納めた人が
受け取る老齢基礎年金は月6万5541円。保護費が国民年金を2倍以上も上回る計算だ。
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