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退屈貴族「東洋のランボー」
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夕刻、都内の河川敷―。一人の老人が、灯油が撒かれて並べられたダンボールを
前にしている。番組スタッフが「本当に火の上を歩くんですか」と聞くと「歩きますよ」
と老人。「とか言って、ちょろっと横っちょ歩いたりして」と挑発すると、老人はやや
憤然と「しない。そんなことは」と答えた。
老人はスタッフから借りたライターで火をつけた。河川敷は風がよく通る。老人の前
に、たちまち一メートル以上の火炎を上げる道が十メートルほどできあがった。
ナレーションがここぞとばかりに煽り立てる。〈燃え上がりました。燃えさかる炎はアフ
ガンです。果たして、本当にこの炎の中を裸足で歩くことなど人間にできるのであろうか〉
「お願いします」フジテレビの番組ディレクター・Kらは、バンツ姿で下半身むき出しの
老人にそう声をかけた。老人は燃えさかる火の中に足を踏み入れた。
〈ランボーは、炎の中へと足を踏み出しました。ゆっくり、そして力強く。人類の未来の
ため、ランボーは前へと進むのです〉 ふざけた台調の中、画面に映る老人の足は
火炎に舐められ見えなくなるほどだ。それでも十歩ほど歩いたが、激痛にがまんでき
なくなったのだろう、
端まで歩き通すことはできず横に逸れた。膝に両手をつき青ざめた表情で「少し火が
強かった」と言い、それでも気丈に「大丈夫」と声を出した。
が、すでに火傷は足裏から太ももまで、下肢の広範囲に及んでいた。Kはこの時、
足の皮が火傷でめくれ上がっているのを見ている。だが、ピデオを回し続けた。
火を使う撮影なら必須の消火器も用意してなかった。あったのはバケツの水一杯だけ
である。
火渡りの企画は、安直な二番煎じであった。六年前の九七年五月に放送された日本
テレビの番組「投稿!特ホウ王国」を見たリサーチャーが、「火渡りと幽体離脱ができる
老人がいる」とネタを上げてきたものだ。