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俺は慶應の総合政策、同級生のあいつは早稲田の人間科学、
ともに名古屋大学を目指して失敗した、いわば同志なのであった。
俺たちは高校卒業式で担任教師から、
「二人ともいいライバルだったな、これからもいい友達になれよ」
と励まされ、
正直ちょっとだけ悔しさの残る受験生の生活だったが、
しかしこの教師の言葉でふっ切れたのだった。
さいたま大を狙っていたくせに明治政経にしか受からなかった岡田が、
半狂乱になって教師と激論し、
バカかオマエは、人生捨てたのか ― などと教師の怒号が響き渡っていたが、
俺たちは苦笑しながらそんな教室を後にし、校庭を一気に駆け抜けた。
春一番の吹き抜けたような並木道は、気の早い桜の渡り香が確かに感じられ、
俺たちは若き血と紺碧の空を歌いながら、
おいちょっと歌詞が違うんじゃないかなどと互いにからかい合うのだった。